闇の紫乃と統合したのち。
エフェクトは、アセンションしていました。
アズマや紫乃と同じように次元があがり、まるで空気の中に溶けたかのようになり。
どこにでも存在する代わりに、どこにも個体が存在していないよう。
それまでアズマが意識して家族の元に姿を現していたように、エフェクトも意識して明の生活が変わらないようにしていました。
しかし、やはり同じ次元で生活しているのとは違い。
帰ってきてドアを開けた時。
それまでそこで生活していた息遣いのようなものが感じられないわが家で、同じように母が迎えてくれたとしても。
明は少しづつ寂しげな目をするようになっていたのです。
「大賛成だわ!」
青夢の妻のマリーは喜びました。
「一緒にお菓子を作ったり料理したり。あの子はとても明るくて私は大好きよ。」
青夢はうなずくと「どうだろう?お父さん。」と、宙にむかって話しかけます。
「ありがとう。助かるよ。」
アズマは姿を現さずにゆらりと空気をゆらしながら答えました。
しかしエフェクトはぽんっと姿を現すと、青夢とマリーを抱きしめて「ありがとう!」と嬉しそうに言いました。
「せめて明が成長するまで…と思っていたけど、もうこうなっちゃったら仕方ないものね。」
そういって、にこにこと笑いながらマリーが出してくれたお茶をいただきます。
エフェクトがクッキーをつまんでいると、アズマに連れられて明が走ってきました。
青夢の小屋の前に設けられたいつもの大きな木のテーブルで。
ちょっとボーイッシュな少女、または少女っぽい少年といった風情の明は、話をきいて大喜び。
「この森の小屋に住めるの?嬉しい!」
「朝、目が覚めたら小鳥の声がすぐそこに聞こえるのよ。」
マリーの説明で、明は目を輝かせました。
「西塔は山の上だからそこまで聞こえなかったんだ!楽しみ!」
「それは私も楽しみだわ。」
エフェクトが言うと、皆が振り返りました。
「あら?私は泊っちゃいけない?」
ちゃめっけのある笑顔をみせて、エフェクトは笑いながら金色の光の中に消えていきます。
「朝寝坊したら起こしに来るからね、明。」
「しないよ!小鳥の声で起きるんだ!」
明は笑いながらエフェクトに手をふり、振り返ってマリーにいいました。
「料理教えてね!お菓子もいっぱい!実葛
(さねかず)お兄ちゃんにもっていくから!」
こうして、pyoの守護霊として出てきたアズマ、紫乃、エフェクトはアセンションを果たし。
上級のガイドとしてさらに神子
(みこ)たちを指導する側にまわったようです。
零
(れい)は元気になり伽羅弧に馴染んだ息子・実葛を残して根の国に帰りました。
実葛はエリア1の森や山や川、海などが気に入り、あちこち歩き回っているようです。
根の国は隣国だった黄泉の国が美しい黄金の泉を囲む公園のようなエリアに変わり、どうやらここを目的に訪れるものたちも増えてさらに賑やかになっている様子。
そしてデルタは、黄泉の国の主宰神としての役目を終え、後始末を終えると管理権を為信に渡して伽羅弧に帰ってきた模様。
クリスタル城の一部にある朔間の研究室で、一緒にお茶を飲んでいるビジョンが視えました。
径
(けい)は大学卒業後の進路問題でもめたあげく断絶状態になってしまっていた息子・藍
(あい)に謝罪し仲直りするために金星に旅立ちました。
美雨
(ちゅらみ)も一緒に金星にいったあと、夫と息子の仲直りを見守って安心し、ずっと要望されていた金星での朗読コンサートも再開。
円
(まどか)と夜希
(よき)はエリア4の浄化が終わった後も、夫婦の「散歩」をときどき続け。その姿はエリア4に限らず、あちこちのエリアで目撃されるようになりました。
縁
(ゆかり)は第1子を出産。
由雄がお茶を準備しながら、静かに、幸せそうに妻子を見ているビジョンが入ってきました。
路
(みち)は、誰もいなくなった西塔がいったんただの西の端のからっぽの塔に戻った後、自分好みに改造して一人で暮らし始めました。
「僕の秘密基地。」
とちゃめっけのある言い方をしていて、どうやらクリスタル城の自室もそのままにしているようです。
廻
(かい)と紅
(こう)は山小屋の生活を楽しみながら子育てを続けています。
どうやら紅、ただいま第9子がお腹の中にいる模様。
さて、私・pyoがキャッチしていない双子の仁
(じん)と彩
(さい)、
そしてちょっと活躍の場が少なかった路については、来年また登場するかもしれません。
ちょっと意外な情報が入ってきてるんですが…年末忙しくて放置しています。
というとこで、とりあえず 伽羅弧4は終わりです~。
完
オマケ話し。
アセンションに伴い、地上の八百万の神々は役割を終え、新たなものたちと交代しちゃってるようなんですよ。
で、天照大神を継いだ紫乃。
これはどうやら決められていた事らしく。
その紫乃を守る存在だったことからアズマも自然にアマテラスの弟神であるスサノオ神を継いだんですが。
んじゃ、アーシャスは?
とちょいと軽い疑問が湧いたので、勇者ひかりさんに聞いてみました。
ぴょ「ねぇ、アーシャスは月読尊
(つくよみのみこと)を継ぐことを‘了承’したんだよね?」
勇ひ「もちろんだよ!だってそうじゃないと
紫乃さんとつりあいがとれないじゃない!」
…。(^◇^;
…そ、そういうランクで引き受けたのか…
…結構、月の神さまって忙しそうですが…
…結構健気なアーシャスだったのでした~。