2009年07月04日
第5話 消滅 [白龍物語]
第5話 消滅
アズマは卵をつれて家に帰りました。
美雨はあらたな家族に喜んだものの…父と顔をあわせるのを辛く感じていました。
アズマはその事を察し、あえて再び話題に触れることなく、何となくなし崩し的に生活を再開させてしまいました。
アズマは卵をつれて家に帰りました。
美雨はあらたな家族に喜んだものの…父と顔をあわせるのを辛く感じていました。
アズマはその事を察し、あえて再び話題に触れることなく、何となくなし崩し的に生活を再開させてしまいました。
ひとつだけ珍しく美雨が主張して譲らなかった事がありました。
このままでは手が足りないだろうと紫乃が手配を提案した女官の配置について、美雨は即答で断ってしまったのです。
「だって…お母さまは女官の手伝いを嫌がってらしたわ。」
美雨にとっては、そのエフェクトの意見がいつの間にか正当化されてしまっていました。
そして子どものころから彼女自身の世話をしてくれてきた女官のエマを彼女の部屋におく以外、家族の生活の場に決して女官を入れようとはしなかったのです。
アズマは「参ったな」と苦笑しながらも、とにかく卵が孵るまでは、と、仕事はほとんど分身を派遣し、自らは家の中で過ごして卵にエネルギーを与え続けました。
エフェクトは、意識が戻りませんでした。
朔間が首を傾げるほど与えてるエネルギーもたまらず、生命維持装置を外すこともできない状態が続いていたのです。
そんなある日。
アズマはどうしても本体が調査にいかなければいけないと判断せざるを得なかった仕事のために、本体をエリア4へ、分身のひとつを御前会議へ、もうひとつを自宅においていました。
エリア4。
魑魅魍魎たちのジャングルの世界。
なぜかそこに、ぽっかりと砂漠地帯が出現したのです。
そして調査にいった兵士たちが次々と行方不明となる事態が発生していました。
アズマは龍の姿で空中からゆっくりと近づきました。
闇のエネルギーが渦巻く、濃いジャングルの世界。
そこにいきなり現れた、楕円形の白い砂漠地帯。
「…木の上に砂がたまったような高さだな。」
アズマはゆっくりと高度を下げて砂漠の様子を確認しました。
しかし上空から観察していても何も変化はみつからず。
これだけでは埒があかない。
と、アズマは人の姿になり、慎重に砂漠の上に降り立ってみました。
念のため上空には部下である別の龍をスタンバイさせています。
砂の上に降り立ち、何も変哲がない・・・とアズマが感じたとたん
ザッ!
と砂が動き、一瞬でアズマを飲み込みました。
「アズマさま!」
部下たちがどよめきます。
その時、御前会議にいたアズマの分身も、自宅で卵を膝にのせエネルギーを送っていたアズマの分身も、同時に消えました。
「お父さま!」
アズマが消えるのを目撃した美雨は真っ青になりました。
あとには、卵だけがソファに残されています。
『美雨!アズマは?』
紫乃から心話が届きました。御前会議の最中にアズマが消えたのを目撃したのです。
「卵が…卵が…」
美雨はおろおろと答えました。
すぐに紫乃の分身が現れ、アズマがいないのを確認すると美雨から卵を受け取りました。
その時に、紫乃にアズマが行方不明との報が入ったのです。
つづく。
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このままでは手が足りないだろうと紫乃が手配を提案した女官の配置について、美雨は即答で断ってしまったのです。
「だって…お母さまは女官の手伝いを嫌がってらしたわ。」
美雨にとっては、そのエフェクトの意見がいつの間にか正当化されてしまっていました。
そして子どものころから彼女自身の世話をしてくれてきた女官のエマを彼女の部屋におく以外、家族の生活の場に決して女官を入れようとはしなかったのです。
アズマは「参ったな」と苦笑しながらも、とにかく卵が孵るまでは、と、仕事はほとんど分身を派遣し、自らは家の中で過ごして卵にエネルギーを与え続けました。
エフェクトは、意識が戻りませんでした。
朔間が首を傾げるほど与えてるエネルギーもたまらず、生命維持装置を外すこともできない状態が続いていたのです。
そんなある日。
アズマはどうしても本体が調査にいかなければいけないと判断せざるを得なかった仕事のために、本体をエリア4へ、分身のひとつを御前会議へ、もうひとつを自宅においていました。
エリア4。
魑魅魍魎たちのジャングルの世界。
なぜかそこに、ぽっかりと砂漠地帯が出現したのです。
そして調査にいった兵士たちが次々と行方不明となる事態が発生していました。
アズマは龍の姿で空中からゆっくりと近づきました。
闇のエネルギーが渦巻く、濃いジャングルの世界。
そこにいきなり現れた、楕円形の白い砂漠地帯。
「…木の上に砂がたまったような高さだな。」
アズマはゆっくりと高度を下げて砂漠の様子を確認しました。
しかし上空から観察していても何も変化はみつからず。
これだけでは埒があかない。
と、アズマは人の姿になり、慎重に砂漠の上に降り立ってみました。
念のため上空には部下である別の龍をスタンバイさせています。
砂の上に降り立ち、何も変哲がない・・・とアズマが感じたとたん
ザッ!
と砂が動き、一瞬でアズマを飲み込みました。
「アズマさま!」
部下たちがどよめきます。
その時、御前会議にいたアズマの分身も、自宅で卵を膝にのせエネルギーを送っていたアズマの分身も、同時に消えました。
「お父さま!」
アズマが消えるのを目撃した美雨は真っ青になりました。
あとには、卵だけがソファに残されています。
『美雨!アズマは?』
紫乃から心話が届きました。御前会議の最中にアズマが消えたのを目撃したのです。
「卵が…卵が…」
美雨はおろおろと答えました。
すぐに紫乃の分身が現れ、アズマがいないのを確認すると美雨から卵を受け取りました。
その時に、紫乃にアズマが行方不明との報が入ったのです。
つづく。
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Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(0)
│龍物語
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。