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2009年07月10日

第16話 宇宙龍の情報[白龍物語]

第16話 宇宙龍の情報
 宇宙龍について。
 宇宙の要素を持った龍は、地球の龍とは全く違う。

 光とか闇の影響を受けない。
 それは全て内にあるものだから。
 全ての要素の橋渡し。ゼロに戻す。戻せる。

 白龍が宇宙龍だった場合、
 体の構成要素がまるで違う。
 光の粒子の集合体である。

 細胞レベルに意志があり、個にして全。
 全にして個である。
 まさに砂のような構成で成立つ性質がある。

メッセージ:アーシャス
(チャネリング:勇者ひかりさん


募金活動 ボーイスカウト
「募金活動」 Photo by TRO

エフェクトは子どもが泣くエネルギーに気が付き、寝間から出てきました。

廊下で泣いているウェイを抱き上げ、夜希の部屋から漏れでた闇のエネルギーに触れたのだと気づきます。
すばやく息子の周りについたエリア4のエネルギーを取り除いて光のエネルギーで包み、そしてやさしく子守歌をうたいながらあやし始めました。

ウェイは母の胸に顔をうずめると、しばらくしゃくりあげ、やがて静かな寝息を立て始めました。



いつまでも戻ってこない妻を不審に思ったアズマが様子をみにいくと、エフェクトはウェイを抱いたまま、灯りもつけない暗いリビングにいました。
カーテンの隙間から月光が射し込み、やわらかな光を室内に与えています。

エフェクトの金の目はどこか遠いところをみてるかのよう。
何も考えず、ただ、口が子守歌を繰り返しています。

アズマは妻から息子を受け取ると、子ども部屋に連れて行って寝かせてきました。

「…ごめんなさい。わかっているの。わかっているんだけど…。」
寝間に戻ると、エフェクトがはらはらと涙を落としていました。

「ウェイの泣き声を聞きたい、って思ってしまったの。
 泣き声も、笑い声も。
 騒がしくする声も。
 …子どもの騒がしい声を聞けるってことがとっても贅沢なことだったんだって、今さらながらに気づいたわ。」

それが魂の学びだとわかってはいても。
…やはり切ない。

アズマは黙って優しく妻の肩を抱き寄せ、静かに頷きました。


赤ハイビスカス


数日後。

「アズマさま。サイ将軍から連絡です。エリア3にお越しいただきたいと。」
アズマはやはり来たか、とため息をつきました。

 先日からエフェクトの様子がおかしかった。
 どこに出かけているのか毎日外出…これはいつもの事だが。
 行き先がエリア3ならあの格好も合点がいく。

ボディラインを美しく描き出すタイトな黒のワンピース。かかとの高い靴。
アップに結った金色の髪のおかげで、首筋のラインが目を惹きます。
短めのスカートからすらりと伸びた足を魅力的に組み、独特な金色の目を隠すサングラスをちょっと直して。

エフェクトはサイ将軍のデスクの前の椅子にくつろいで座っていました。

艶のある赤い唇に、兵士が運んできたお茶のカップを優雅に運んで「美味しいわ」とにっこりと兵士に笑いかけたところ。

怒り…エフェクト。」
「あら、お迎えが来ちゃったわ。ありがとうございました、サイ将軍。」

静かに怒りをあらわにしているアズマの前でエフェクトはにこやかに立ち上がり、サイ将軍と軽く握手をしてアズマの腕に手を通すと、周囲に笑顔をふりまきながら出て行きました。

ふぅ。
と、エリア3を統括するサイ将軍は息を吐きました。
そして部下に指示。
「次にあの方をエリア3で見かけたら、すぐに報告するんだ。…問題が起こる前にな。」

「一体どなたなんですか?」
「特別補佐官殿だ。アズマさまの奥方様だよ。昔エリア4を壊滅させかけた事件は聞いた事あるだろう。」
「え?あのご婦人がですか?…伝説は本当のことだったんですね?!」

エフェクトの後姿にみとれていた若い兵士が思わず口にした‘伝説’。
将軍は苦笑しました。

…もし同じような事件が内外の宇宙船が離発着するこのエリア3で発生したら。
魑魅魍魎の世界の比ではない。
へたすると伽羅弧全体が崩壊してしまうだろう。

「犯人の様子はどうだ。」
「ええ…宙港医務院で治療をうけていますが。かなりショック症状があるようです。」

かわいそうに。
サイ将軍は、何も知らずエフェクトに手を出してしまった外宇宙の犯罪者 -パイロットとしてやってきた- に、思わず同情してしまいました。



「…それで?」
アズマは、軍の特殊会議室へエフェクトをつれていくと、やっと口を開きました。

この会議室はもともと長城の中心地、アズマが常駐している場所にある殺風景なレンガの部屋。
ところがエフェクトがここを亜空間につなぎ、絶対に外に会話が漏れる事のない特殊会議室に変えてしまっていたのです。

「ええ。わかったわ。エリア4のあの砂漠。あれは宇宙龍の巣だったのよ。きっと遥珂のために設置されたんじゃないかと思うわ。」

アズマはため息をつきました。

どれだけ調査させてもわからなかったこの情報を、エフェクトは単身で外宇宙をとびまわる荒くれパイロットたちの中に入り込んであっさりと手に入れてきてしまったのでした。

ただし、彼女をホテルの個室に連れ込んで襲おうとした悪漢がひとり犠牲に。
ホテルの一室が電撃の衝撃で使い物にならなくなって、警備兵たちがエフェクトを逮捕してしまったというとんでもないオマケつきでしたが。

ハブアガ!(痛い!)


アズマはエリア3の事件についてエフェクトを特に叱責することなどはしませんでした。
ただエフェクトがやらかした事件について、起こりえたあらゆるパターンのシミュレーションを作るよう部下に命じ、結果レポートを待ちました。

その数百といえるシミュレーション結果の最悪のシナリオのいくつかには、サイ将軍が心配した通り、確かに「エリア3崩壊、それによるエリア4壊滅」や「伽羅弧崩壊」などが含まれていました。

 例えエフェクトが最大の力を発揮しなくても。
 エリア3という場所であの力を使えば。
 過去停泊し、また停泊が可能な最大規模の宇宙船とのエネルギーの連鎖が起こりえる場所であれば、そういう最悪の事態も起こりうる…。

アズマはすぐにこれら最悪のシナリオを回避するためのシステム策定の研究を命じ、そしてエフェクトに黙ってこれらの報告をみせたのでした。



「…さすがに、反省しました。」
エフェクトの話をきいてまたもころころと笑ったのは、紫乃。
久しぶりにクリスタル城を訪れたエフェクトは、紫乃とティータイムを楽しんでいました。

「崩壊しちゃうなら、それもまた運命。仕方ないわよねぇ。」
ぎょっとするような事を平気でいい出す紫乃。

魂の欠片をとりもどしすっかり安定した紫乃は、ほかの者では考えられないほど気が長く徹底した見守る姿勢をもつようになっていました。
それは何億年という長きに渡った苦しみを乗り越えてきた者の強さでもありました。

「…運命だとしても、私が引き金になるのは御免こうむりたいわ。」
自重します。
と、エフェクトは笑っていいました。


しかし。
この紫乃とのティータイムから帰ってきたエフェクトは、ぷんぷんと怒っていました。

「全く。なんで近くにいる生き字引を忘れていたのかしら!」
「生き字引?」

きょとんとしたアズマがちょっと考えていいました。
「アーシャスの事か?」
「そうよ!見かけたんで聞いてみたらあっさり教えてくれたわ、宇宙龍の情報!」
エフェクトは悔しがっていました。

あの夫婦、もう!気が長すぎる!!!
徹底して見守る姿勢なんだもの~~~っ!
知ってても聞くまで教えてくれないのよ!!!

アズマは苦笑しました。

そういえば、紫乃は確かに変わった。
安定しただけでなく、天照大神として勤めているうちにどうやら魂の次元が上がったようだな…と。


つづく。
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つぶやき。
つぶやき。(2013-02-21 14:21)


Posted by 町田律子(pyo) at 19:00│Comments(2)龍物語
この記事へのコメント
あはははは。

アーシャスも苦笑いをしております。^^
聞けばスラスラ教えてくれるところが・・・
私としては、びっくりです(笑)
Posted by 勇者ひかり at 2009年07月10日 21:17
勇者ひかりさん:
 ほんとにいつも煮詰まった時に助けていただいて…。m(__)m
 自分でチャネれればいいんですけどねぇ、すっごく助かってます。
Posted by pyopyo at 2009年07月10日 21:37
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。
 
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