2009年07月11日
第18話 新しい教師[白龍物語 第2章最終話]
第18話 新しい教師
そろそろ幼児教育を終えて本格的な学習を…という段階で、朔間が教師を派遣してくれることになりました。
「縛材法-通信塔作ったぞ!」Photo by TRO
そろそろ幼児教育を終えて本格的な学習を…という段階で、朔間が教師を派遣してくれることになりました。
「縛材法-通信塔作ったぞ!」Photo by TRO
そしてやってきたのは…廻でした。
「俺は子ども時代が長かったからね。」
廻は冗談にして笑い、ふたりのために作られたプレイルームを教室に変えて、いままでの「遊び」を「知識」に発展させることのできる授業を始めました。
幼児教育が終了したので医務官ハタは医務院に戻り、たまに二人の健康管理や成長管理のためにやってくる程度に。
夜希は相変わらず教育係として生活の世話から廻の授業の助手まで、子どもたちに関する全般に関わっていました。
そしてまた美雨による朗読は続けられ、同時にそれは本や言語による授業として取り入れられていきました。そのため伽羅弧の歴史、宇宙史、地球史なども美雨が担当。
こうして新たな体制での遥珂とウェイの教育が始まりました。
廻の授業は特に実技や実験が多く、そこに理解度に応じて理論を組み合わせて学ぶ、という方法で進められました。
つまりいままでの「遊びによる教育」を発展させた形で進めていったのです。
アウトドア遊びが好きな廻は、外に出て、いままでと同じようにエリア1で遊ばせたあと、植物や生物についての知識を解説したり、物理につながる物のエネルギーの理論を理解度に応じて説明したり。
いままでただ単に遊ぶ対象だった自然のものが、本当はどういうものか、という事を二人は徐々に学んでいきました。
そして遥珂が目を使わずに物を見ている方法について、遥珂を含めた全員でディスカッションしたり実験を行ったりして理論的な結論を自ら導き出したり。
ウェイの声の代わりになっている光や雲のエネルギー、それに心話について、他に方法がないか一緒に考えて実験を行ったり。
海では、砂がなぜ落ちるのか、なぜ積み上げて垂直ではなく斜めに崩れるのか、乾いた砂と濡れた砂の違いを調べたり。
海水が熱や温度変化でどう変わっていくのか調べたり。
たまには全員でマリアのいるキッチンに行き、一緒にパンをこね。
パンを作るために必要な材料を量る。
切り分けたり足したりを学ぶ。
熱エネルギーで材料がどう変化して美味しいパンになるのか学ぶ。
そのあとで焼きあがった美味しいパンと、美雨が入れた紅茶を全員でいただく楽しいおやつ時間。
飛べるようになった二人には、エリア1の立体地図造りも楽しい作業でした。
エリア1の上空を飛んで地形を確認し、それを粘土で再現。
これは何ヶ月もかかる作業になり、ふたりは満足いくまでなんども粘土をこねまわしてはエリア1の立体ミニチュアを作り上げていきました。
元兵士であり現神官でもある夜希には、廻や美雨が知らない知識もありました。
主に伽羅弧内での軍官や神官の持つ基礎知識、礼儀、作法。
そしてちょっとしたチャンバラ程度の遊びと剣の礼儀作法は、アズマの許可をとって夜希が教えたのでした。
美雨の本の朗読は、ふたりが物語を作って発表する、という内容にも発展しました。
やがて遥珂とウェイが作ったシナリオに従って廻、美雨、夜希を含めた5人で劇を演じる事もあり。
ただの物語ではなく、歴史を含めた知識を演劇を通じて学ぶ事もありました。
アズマとエフェクト、マリアの前でこうした劇を発表した日はちょっとした演劇発表会。
そんな日はマリアが喜んで美味しい料理を作り、ちょっとしたパーティになるのでした。
こうやって多くの知識を深めながら。
同時に子どもたちふたりがそれぞれ疑問に持ったことは何でも徹底的に一緒に考え、ディスカッションし、結論に対してさらに検証を深め、可能なら実験も行う。
こうして子どもたちは自ら「考える」力をつけ。
これは子どもたちのみならず、関わっている大人たちにもさらに深く物事を考えるいい学びになっていったのでした。
第3章へつづく。
用語、キャラクター解説はこちら 目次代わりのタイトル一覧は、タグをクリックしてご覧ください。
「俺は子ども時代が長かったからね。」
廻は冗談にして笑い、ふたりのために作られたプレイルームを教室に変えて、いままでの「遊び」を「知識」に発展させることのできる授業を始めました。
幼児教育が終了したので医務官ハタは医務院に戻り、たまに二人の健康管理や成長管理のためにやってくる程度に。
夜希は相変わらず教育係として生活の世話から廻の授業の助手まで、子どもたちに関する全般に関わっていました。
そしてまた美雨による朗読は続けられ、同時にそれは本や言語による授業として取り入れられていきました。そのため伽羅弧の歴史、宇宙史、地球史なども美雨が担当。
こうして新たな体制での遥珂とウェイの教育が始まりました。
廻の授業は特に実技や実験が多く、そこに理解度に応じて理論を組み合わせて学ぶ、という方法で進められました。
つまりいままでの「遊びによる教育」を発展させた形で進めていったのです。
アウトドア遊びが好きな廻は、外に出て、いままでと同じようにエリア1で遊ばせたあと、植物や生物についての知識を解説したり、物理につながる物のエネルギーの理論を理解度に応じて説明したり。
いままでただ単に遊ぶ対象だった自然のものが、本当はどういうものか、という事を二人は徐々に学んでいきました。
そして遥珂が目を使わずに物を見ている方法について、遥珂を含めた全員でディスカッションしたり実験を行ったりして理論的な結論を自ら導き出したり。
ウェイの声の代わりになっている光や雲のエネルギー、それに心話について、他に方法がないか一緒に考えて実験を行ったり。
海では、砂がなぜ落ちるのか、なぜ積み上げて垂直ではなく斜めに崩れるのか、乾いた砂と濡れた砂の違いを調べたり。
海水が熱や温度変化でどう変わっていくのか調べたり。
たまには全員でマリアのいるキッチンに行き、一緒にパンをこね。
パンを作るために必要な材料を量る。
切り分けたり足したりを学ぶ。
熱エネルギーで材料がどう変化して美味しいパンになるのか学ぶ。
そのあとで焼きあがった美味しいパンと、美雨が入れた紅茶を全員でいただく楽しいおやつ時間。
飛べるようになった二人には、エリア1の立体地図造りも楽しい作業でした。
エリア1の上空を飛んで地形を確認し、それを粘土で再現。
これは何ヶ月もかかる作業になり、ふたりは満足いくまでなんども粘土をこねまわしてはエリア1の立体ミニチュアを作り上げていきました。
元兵士であり現神官でもある夜希には、廻や美雨が知らない知識もありました。
主に伽羅弧内での軍官や神官の持つ基礎知識、礼儀、作法。
そしてちょっとしたチャンバラ程度の遊びと剣の礼儀作法は、アズマの許可をとって夜希が教えたのでした。
美雨の本の朗読は、ふたりが物語を作って発表する、という内容にも発展しました。
やがて遥珂とウェイが作ったシナリオに従って廻、美雨、夜希を含めた5人で劇を演じる事もあり。
ただの物語ではなく、歴史を含めた知識を演劇を通じて学ぶ事もありました。
アズマとエフェクト、マリアの前でこうした劇を発表した日はちょっとした演劇発表会。
そんな日はマリアが喜んで美味しい料理を作り、ちょっとしたパーティになるのでした。
こうやって多くの知識を深めながら。
同時に子どもたちふたりがそれぞれ疑問に持ったことは何でも徹底的に一緒に考え、ディスカッションし、結論に対してさらに検証を深め、可能なら実験も行う。
こうして子どもたちは自ら「考える」力をつけ。
これは子どもたちのみならず、関わっている大人たちにもさらに深く物事を考えるいい学びになっていったのでした。
白龍物語 第2章 「教育」 完
第3章へつづく。
用語、キャラクター解説はこちら 目次代わりのタイトル一覧は、タグをクリックしてご覧ください。
Posted by 町田律子(pyo) at 19:00│Comments(2)
│龍物語
この記事へのコメント
プログラムのヒントがい~っぱい!
なんでもないところに、いくらでも教材が
転がっているのに、何か用意しないととか
どこかに連れて行かなければ…なんて、本質
とは違うところに心を持っていかれてる。
なぁんて、そこではわかるのに、現場にそれを
なぜ持ち込めないのだろう?
やっぱり現場やりたいな。仕事でもそこでも。
なんでもないところに、いくらでも教材が
転がっているのに、何か用意しないととか
どこかに連れて行かなければ…なんて、本質
とは違うところに心を持っていかれてる。
なぁんて、そこではわかるのに、現場にそれを
なぜ持ち込めないのだろう?
やっぱり現場やりたいな。仕事でもそこでも。
Posted by poponta at 2009年07月13日 00:15
ぽんちゃん:
あはは、私がやりたかったボーイスカウトの集会のプログラム、
全部つっこんじゃった。ばれた?(笑)
あはは、私がやりたかったボーイスカウトの集会のプログラム、
全部つっこんじゃった。ばれた?(笑)
Posted by pyo at 2009年07月13日 01:08
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。