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2009年06月17日

黒龍物語32-慢心

第32話 慢心-増上慢

それは、為信が通常通りの業務をこなしていれば避けられた事態でした。

黒龍物語32-慢心


深奥の地域。
そこに配置された兵士たちによるパトロールにおいて、行方不明者が発生したのです。

為信のチームでした。
チームリーダーとなっていた為信は、その時チームより別のことに心を奪われていました。

『もう一度、魂たちの集まりが見られないだろうか。』
彼の心には、イザナミの失われた魂を見つけたいという気持ちが常にありました。

為信はそのためにチームから目を離し、‘すぐ戻れる’と己の力を過信してすこし横道にそれたのです。

それは、エリア4パトロールとしては禁忌となる行動でした。
すぐに道は消え、為信はチームに戻るのが遅れてしまったのです。


頼りとなるチームリーダーを‘ほんのちょっとの時間’失ったそのチームには、為信の力を考慮し信頼して配置された「狙われやすい」兵士がいました。
そしてその兵士一人だけがいつの間にか魑魅魍魎たちにより静かに道を違えさせられ、行方不明となってしまったのです。


見つかった時。
その兵士は命は無事だったものの、かなり生体エネルギーを吸い取られた状態でした。




「ばかもの!何に気をとられていた!」
上官の叱咤に、為信は唇を噛み、目をそらしました。

心の奥底から‘俺にはやるべき事があるんだ’という気持ちがゆらりと湧き上がってきます。
その揺らぎは為信の心の目を曇らせ、事態を甘く判断させる原因となっていました。

その結果。
チームリーダーをはずされ、謹慎を言い渡された為信は心の中で上官に反発していきます。

そしてまたその謹慎期間中にいつも以上に厳しい戦闘訓練があり。
それは為信ひとりを対象としたものではなかった、通常の訓練予定に組み込まれたものであったにも関わらず。

結果的にチームをさしおいて殆ど一人で戦闘を引き受けながら、為信はそれを己のためというより上官の感情的な対応-いじめ-と受け止めてしまったのでした。



為信は、新たな‘心の闇’と呼ばれる邪に襲われている事に気がついていませんでした。

それは時間をかけてゆるりゆるりと彼の心の中に棲み付いていった、慢心。
増上慢とも呼ばれる、思い上がった心への心理誘導でした。


つづく。

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「増上慢」:ぞうじょうまん (Yahoo辞書より)

1 仏語。未熟であるのに、仏法の悟りを身につけたと誇ること。七慢の一。
2 自分を過信して思い上がること。また、そういう人や、そのさま。





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つぶやき。
つぶやき。(2013-02-21 14:21)


Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(2)龍物語
この記事へのコメント
最近、パソコンあまり触る時間ないし、スマホは入ってるコースの関係でブログ等、ほとんど見れないので
「わたしに必要な情報にだけ誘導お願い」と守護存在さんにサポートお願いしてます♪

そして、いくつかチョイスして読んで行く中で、ここに辿り着いたぞっと^^;

あ、やっぱりと苦笑い・・・♪
Posted by ジゼル at 2012年09月17日 11:13
●ジゼルさん
おひさです~。
記事もおひさで、あらら~でした。
Posted by pyopyo at 2012年09月17日 23:19
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。
 
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