2009年06月22日
黒龍物語42-前世の記憶
第42話 前世の記憶
「…わかりました。僕は、この方の守護龍となるのですね。」
前世の黒龍、フェイから記憶を受け取った為信は、頷きました。
「…わかりました。僕は、この方の守護龍となるのですね。」
前世の黒龍、フェイから記憶を受け取った為信は、頷きました。
戻る場所がある…とはエフェクトから聞いていたものの、詳しい説明はそれ以上なかった、その先がやっと明確に見えたのでした。
黄龍エフェクトと黒龍フェイとのつながりは、それぞれの地上の存在たちの繋がりから始まりました。
フェイが守護する地上の存在・Mさんの揺れを、エフェクトが守護する地上の存在・pyoが察知したことからエフェクトが様子をみにいき、その時にフェイがMさんの元を去るのを目撃してしまったのです。
こっそりフェイのあとをつけたエフェクトは、弱ったフェイが蜘蛛に食べられそうになっているのを見て咄嗟に動きました。蜘蛛の元からフェイをかっさらってしまったのです。
こうなってしまっては…と、フェイはエフェクトに頼みました。
「私は黒龍、闇に棲むもの。
なので蜘蛛ならばと思ったのですが…。
もうすでに寿命が来ております。
光に棲む貴方にお願いするのは心苦しいのですが…」
フェイは苦しい息の底からエフェクトに伝えました。
「出来る事ならば再び生まれ変わり、守護すべき存在の元へ帰りたいのです。」
エフェクトは頷きました。
「わかりました。お約束いたします。
あなたの魂を預かり、転生のお世話と守護龍として力を持てるまでお育ていたします。」
黒龍フェイは頷くと、その命を終えました。
そういう事だったのか。
なぜ、光の存在である父と母の元に、闇の存在である黒龍の俺が生まれえたのか。
なぜ、闇の存在である黒龍の魂を、母が連れ帰ったのか。
母が語らなかったその理由を、為信は理解しました。
「この後、戻る前にひとつだけ、修行をしてほしい。」
フェイは告げました。
「この伽羅弧には、月読尊がおられる。彼は闇を深く知っておられる。闇に棲むものなら知らぬ者はおらぬお方だ。ぜひ、彼の元で修行をしてから地上におりてほしい。」
為信は頷きました。
「わかりました。ここから出る日が来たら…ツクヨミ様が受け入れてくださるかどうかわかりませんが…」
為信は少し躊躇しました。
罪を犯しこうして刑を受けている己を、神々であるアーシャスや紫乃、そして…両親がどう迎えてくれるのか、わからなかったのです。
でも。
時間をかけてでも。
さらにイザナギとの約束を果たすためにも。
闇について月読尊から学べるのなら、そのために努力しよう。
為信は決心しました。
フェイは安心し、静かに奥に引いていきながら己の死後のビジョンも為信にみせてくれました。
黒龍フェイの魂を受け取った黄龍エフェクト。
そのまま四散するフェイの肉体を見届けてから、己の中に黒龍の魂を種として入れ、伽羅弧へ帰っていきます。
エフェクトが長城まで帰り着いたのはちょうど夜明けの時間帯。
長城の上で青龍のアズマが起きて朝の仕度を始めようと人の形に変化したところでした。
まだふたりとも独身の頃。
アズマは長城の上で、屋根なし壁なしの気楽な生活をしていました。
朝のお茶を準備した兵士がアズマの元に運んでいきます。
「アズマーっ!」
エフェクトは長城の上から急降下して近づきながら、大きな声でアズマを呼びました。
アズマは軍服の上着を着ながらエフェクトを見上げて、返事します。
「おう!おはよう。どうした。」
エフェクトは長城に近づきながら人の形に変化し、うまく着地しようとバランスをとりながら先を続けました。
「あのねー!私子ども産みたいの!手伝ってーーーっ!」
アズマは目を円くして袖のボタンを留めようとしたままの体勢で固まり。
兵士は運んできたお茶を落としてしまいました。がっちゃん。
ぶはははははっ!
為信はふき出して笑い転げました。
ああ・・・お母さん!あなたは・・・なんてひとだ!
つづく。
「黒龍物語」目次はこちら 用語、キャラクター解説はこちら
黄龍エフェクトと黒龍フェイとのつながりは、それぞれの地上の存在たちの繋がりから始まりました。
フェイが守護する地上の存在・Mさんの揺れを、エフェクトが守護する地上の存在・pyoが察知したことからエフェクトが様子をみにいき、その時にフェイがMさんの元を去るのを目撃してしまったのです。
こっそりフェイのあとをつけたエフェクトは、弱ったフェイが蜘蛛に食べられそうになっているのを見て咄嗟に動きました。蜘蛛の元からフェイをかっさらってしまったのです。
こうなってしまっては…と、フェイはエフェクトに頼みました。
「私は黒龍、闇に棲むもの。
なので蜘蛛ならばと思ったのですが…。
もうすでに寿命が来ております。
光に棲む貴方にお願いするのは心苦しいのですが…」
フェイは苦しい息の底からエフェクトに伝えました。
「出来る事ならば再び生まれ変わり、守護すべき存在の元へ帰りたいのです。」
エフェクトは頷きました。
「わかりました。お約束いたします。
あなたの魂を預かり、転生のお世話と守護龍として力を持てるまでお育ていたします。」
黒龍フェイは頷くと、その命を終えました。
そういう事だったのか。
なぜ、光の存在である父と母の元に、闇の存在である黒龍の俺が生まれえたのか。
なぜ、闇の存在である黒龍の魂を、母が連れ帰ったのか。
母が語らなかったその理由を、為信は理解しました。
「この後、戻る前にひとつだけ、修行をしてほしい。」
フェイは告げました。
「この伽羅弧には、月読尊がおられる。彼は闇を深く知っておられる。闇に棲むものなら知らぬ者はおらぬお方だ。ぜひ、彼の元で修行をしてから地上におりてほしい。」
為信は頷きました。
「わかりました。ここから出る日が来たら…ツクヨミ様が受け入れてくださるかどうかわかりませんが…」
為信は少し躊躇しました。
罪を犯しこうして刑を受けている己を、神々であるアーシャスや紫乃、そして…両親がどう迎えてくれるのか、わからなかったのです。
でも。
時間をかけてでも。
さらにイザナギとの約束を果たすためにも。
闇について月読尊から学べるのなら、そのために努力しよう。
為信は決心しました。
フェイは安心し、静かに奥に引いていきながら己の死後のビジョンも為信にみせてくれました。
黒龍フェイの魂を受け取った黄龍エフェクト。
そのまま四散するフェイの肉体を見届けてから、己の中に黒龍の魂を種として入れ、伽羅弧へ帰っていきます。
エフェクトが長城まで帰り着いたのはちょうど夜明けの時間帯。
長城の上で青龍のアズマが起きて朝の仕度を始めようと人の形に変化したところでした。
まだふたりとも独身の頃。
アズマは長城の上で、屋根なし壁なしの気楽な生活をしていました。
朝のお茶を準備した兵士がアズマの元に運んでいきます。
「アズマーっ!」
エフェクトは長城の上から急降下して近づきながら、大きな声でアズマを呼びました。
アズマは軍服の上着を着ながらエフェクトを見上げて、返事します。
「おう!おはよう。どうした。」
エフェクトは長城に近づきながら人の形に変化し、うまく着地しようとバランスをとりながら先を続けました。
「あのねー!私子ども産みたいの!手伝ってーーーっ!」
アズマは目を円くして袖のボタンを留めようとしたままの体勢で固まり。
兵士は運んできたお茶を落としてしまいました。がっちゃん。
ぶはははははっ!
為信はふき出して笑い転げました。
ああ・・・お母さん!あなたは・・・なんてひとだ!
つづく。
「黒龍物語」目次はこちら 用語、キャラクター解説はこちら
Posted by 町田律子(pyo) at 19:00│Comments(2)
│龍物語
この記事へのコメント
>弱ったフェイが蜘蛛に食べられそうになっているのを見て咄嗟に動きました。蜘蛛の元からフェイをかっさらってしまったのです。
ああー そういう筋書きだったんですね・・
人の繋がりってやっぱり面白いなぁ。
ああー そういう筋書きだったんですね・・
人の繋がりってやっぱり面白いなぁ。
Posted by 雫 at 2009年06月22日 19:57
一滴ちゃん:
そうなの、面白いよね。^^
そうなの、面白いよね。^^
Posted by pyo at 2009年06月23日 11:54
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。