2009年06月25日
黒龍物語46-土鈴
第46話 土鈴
夜更け。
為信はふと目を覚まして、うすぼんやりと光る闇の中の人の影を認めました。
誰?
夜更け。
為信はふと目を覚まして、うすぼんやりと光る闇の中の人の影を認めました。
誰?
それは、古の3体の武神たち。
ゆっくりと頭を下げ、古い型の挨拶をしました。
『礼を告げに来た。』
『我らは、あのオロチとなって長い時を過ごしてきた』
『そなたのお陰でこうやって再びそれぞれの形を取り戻す事ができたのだ。』
武神たちは静かに礼をいうと、一連のビジョンを為信に送りこんできました。
それは…イザナギと彼らが友だった古い時代。
イザナギが笛を吹き、娘の紫乃が舞う。
その美しく楽しい宴に招かれた友人たち。
その宴よりさらに昔の時代から、イザナギと共に天部として働いてきた彼ら。
『まさか己が邪心に負けるとは思ってもみなかった。』
武神のひとりは目をふせて告げました。
イザナギ殿の妻娘をお守りすると…天使界の戦いにでかけられるイザナギ殿に告げた我ら。
邪心によりおふたりを闇に落としてしまった。
そして…その咎により地に落ち、邪心が混じりあったオロチとなって、離れ得ない情けない姿のまま地においてもまた悪事を働いていた。
『それを…スサノオ殿が成敗することで、地から離れる事ができたのだが。』
『それでもまだ罪は償えず、邪の心は消えず、あの闇のエリアに巣くっておった。』
そなたに切り刻まれ、やっとイザナギ殿の怒りが解けたと告げられて。
我らはその喜びから邪の心を手放し、こうしてもとの姿に戻る事ができた。
古の武神たちが送り、語る彼らの歴史に、為信は頷きました。
邪心に負ける…それがどういう状態か、彼はよく知っていたからです。
『我らは天界に戻るべく、道を探す旅に出る。』
『だが、そなたへの礼として、何か願い事があるならばとやってきた。』
武神たちの言葉に、為信はきちんと座りなおし、頭を下げました。
「では。イザナミさまを探したいのですが、お力をお貸しいただけないでしょうか。」
武神たちは頷きました。
『よかろう。それは我らの咎でもある。
イザナミ殿は魂が闇の中で散らばっておったはず。
かき集めねばならぬ…黄泉の国の中で。』
それは、我らができる限りの事をして集めよう。
そしてそなたに知らせよう。
いずれ、天界に戻るには地獄界を通らねばならぬ。
『この鈴を。』
為信は、小さな土焼きの鈴を受け取りました。
『それが鳴る時が、合図じゃ。』
リン、と乾いた音がして鈴を見た為信が再び目を上げると、そこにはもう武神たちの姿はありませんでした。
…神々もまた、邪に侵された心に苦しんでいた…。
為信は鈴を大事に胸のうちにしまいました。
つづく。
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ゆっくりと頭を下げ、古い型の挨拶をしました。
『礼を告げに来た。』
『我らは、あのオロチとなって長い時を過ごしてきた』
『そなたのお陰でこうやって再びそれぞれの形を取り戻す事ができたのだ。』
武神たちは静かに礼をいうと、一連のビジョンを為信に送りこんできました。
それは…イザナギと彼らが友だった古い時代。
イザナギが笛を吹き、娘の紫乃が舞う。
その美しく楽しい宴に招かれた友人たち。
その宴よりさらに昔の時代から、イザナギと共に天部として働いてきた彼ら。
『まさか己が邪心に負けるとは思ってもみなかった。』
武神のひとりは目をふせて告げました。
イザナギ殿の妻娘をお守りすると…天使界の戦いにでかけられるイザナギ殿に告げた我ら。
邪心によりおふたりを闇に落としてしまった。
そして…その咎により地に落ち、邪心が混じりあったオロチとなって、離れ得ない情けない姿のまま地においてもまた悪事を働いていた。
『それを…スサノオ殿が成敗することで、地から離れる事ができたのだが。』
『それでもまだ罪は償えず、邪の心は消えず、あの闇のエリアに巣くっておった。』
そなたに切り刻まれ、やっとイザナギ殿の怒りが解けたと告げられて。
我らはその喜びから邪の心を手放し、こうしてもとの姿に戻る事ができた。
古の武神たちが送り、語る彼らの歴史に、為信は頷きました。
邪心に負ける…それがどういう状態か、彼はよく知っていたからです。
『我らは天界に戻るべく、道を探す旅に出る。』
『だが、そなたへの礼として、何か願い事があるならばとやってきた。』
武神たちの言葉に、為信はきちんと座りなおし、頭を下げました。
「では。イザナミさまを探したいのですが、お力をお貸しいただけないでしょうか。」
武神たちは頷きました。
『よかろう。それは我らの咎でもある。
イザナミ殿は魂が闇の中で散らばっておったはず。
かき集めねばならぬ…黄泉の国の中で。』
それは、我らができる限りの事をして集めよう。
そしてそなたに知らせよう。
いずれ、天界に戻るには地獄界を通らねばならぬ。
『この鈴を。』
為信は、小さな土焼きの鈴を受け取りました。
『それが鳴る時が、合図じゃ。』
リン、と乾いた音がして鈴を見た為信が再び目を上げると、そこにはもう武神たちの姿はありませんでした。
…神々もまた、邪に侵された心に苦しんでいた…。
為信は鈴を大事に胸のうちにしまいました。
つづく。
「黒龍物語」目次はこちら 用語、キャラクター解説はこちら
Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(6)
│龍物語
この記事へのコメント
どうしてこんなにリンクするのでしょうか、
昨日のイメージワークで、あなたに今必要なのは統合よ。光りと闇の統合。と言われ、自分がまだまだ感じていた得体の知れない底知れぬ何かを視に行ってきたのですが・・。
いい加減手放すことを決めなきゃいけない。
オロチにも為信にも自分の心と重なります。
昨日のイメージワークで、あなたに今必要なのは統合よ。光りと闇の統合。と言われ、自分がまだまだ感じていた得体の知れない底知れぬ何かを視に行ってきたのですが・・。
いい加減手放すことを決めなきゃいけない。
オロチにも為信にも自分の心と重なります。
Posted by テン at 2009年06月25日 09:50
赦す、赦される
救う、救われる
赦すことって大事なんですね。自分も、相手も。
救う、救われる
赦すことって大事なんですね。自分も、相手も。
Posted by あみ at 2009年06月25日 10:29
テンさん:
光と闇の統合、結構難しい感じがしますよね。
でも「邪」「呪」「怨」「怒」といったものは、闇ではないんですよ。
そのあたりを別にすると、純粋な闇がそう怖いものではなく、光と同じだとわかってきます。
といっても私もまだまだなんですけどね。^^;
あみさん:
そうですね、結局、どんなことも自分自身の問題なんです。
赦すも赦さないも…自分自身に返ってきます。
光と闇の統合、結構難しい感じがしますよね。
でも「邪」「呪」「怨」「怒」といったものは、闇ではないんですよ。
そのあたりを別にすると、純粋な闇がそう怖いものではなく、光と同じだとわかってきます。
といっても私もまだまだなんですけどね。^^;
あみさん:
そうですね、結局、どんなことも自分自身の問題なんです。
赦すも赦さないも…自分自身に返ってきます。
Posted by pyo at 2009年06月25日 19:55
そうですね☆
この間は、自分の中のどす黒い部分と光の部分を一つの玉にしたら強烈な真っ白い光が。
それはハイヤーセルフの光ですよ。といわれました。
統合すると本来の魂になるのですかね。。
まだまだくすぶっている感じです。
「邪」「呪」「怨」「怒」といったものは、闇ではない。。
なんとなく。。わかる気がします。
愛ある故に・・って感じなのでしょうか・・?
ん~~
これからも色々学ばせてくださいf^^;
この間は、自分の中のどす黒い部分と光の部分を一つの玉にしたら強烈な真っ白い光が。
それはハイヤーセルフの光ですよ。といわれました。
統合すると本来の魂になるのですかね。。
まだまだくすぶっている感じです。
「邪」「呪」「怨」「怒」といったものは、闇ではない。。
なんとなく。。わかる気がします。
愛ある故に・・って感じなのでしょうか・・?
ん~~
これからも色々学ばせてくださいf^^;
Posted by テン at 2009年06月26日 00:37
テンさん:
おお、ハイヤーセルフの光を感じられたんですね♪
すてきです~。
本来の闇については、この前の記事で書いてあるアーシャスの説明をどうぞご覧ください♪
おお、ハイヤーセルフの光を感じられたんですね♪
すてきです~。
本来の闇については、この前の記事で書いてあるアーシャスの説明をどうぞご覧ください♪
Posted by pyo at 2009年06月26日 05:35
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。