2009年07月02日
第1話 新たな命 [白龍物語 第1章]
白龍物語
第1章 新たな子たち
第1章 新たな子たち
第1話 新たな命
ある朝のこと。
キッチンに立つ妻をみたアズマは、彼女のオーラの変化に気づきました。
いつもと色が違う。
その意味に気づいた時、アズマはつい後ろにたって、そっと妻を抱きしめました。
「…アズマったら。」
気づいたわね、と嬉しそうに振り返ろうとしたエフェクトに、アズマは静かにいいました。
「地球に下りるのは暫く禁止な。」
なんですってぇーーーーー!!!!
「まったく!妻が妊娠したことに気づいて最初にいう言葉がこれ?!」
ぷんぷん怒るエフェクトの話をきいて、ころころと笑ったのは、紫乃。
エフェクトはクリスタル城の紫乃の居室を訪れて、午後のティータイムを一緒に楽しんでいました。
「アズマも心配が先にでちゃったのね。
だって、アズマがいままであなたを必死に探した時って…」
紫乃の言葉に、エフェクトは降参しました。
いままでアズマが血相変えてエフェクトを必死に探したのは3回。
最初はエリア4で息子ともども妖怪に食べられかけて
次は地球上で事故、暴行、そして恐らく止めが入らなければ自刃。
さらに最後のは、伽羅弧の海のなかで流産し仮死状態になってた…と。
「護りの存在」であるアズマをここまできりきり舞いさせて己の命を危険にさらしてしまった実績を鑑みると、「信用がなくなった」と言われても仕方ありません。
「いう事きかないと、北牢に閉じ込めるなんて言うのよ。」
それでもぶつぶつ言うエフェクトのふくれ顔に、さらに紫乃は大笑いしました。
「順調なようね。」
紫乃はそっとエフェクトのお腹に触れました。
妊娠・出産のサポートといえば紫乃のもともとの能力。
紫乃のエネルギーのそばにいると、妊娠初期のちょっとしたパワーダウンもすぐ回復する気がします。
「地球へのサポートは、遠隔でもできるのでしょう?」
紫乃の言葉に、エフェクトは頷きました。
結局、自分自身が好きで飛び回っていたかっただけ。
それを認めました。
「しばらくは大人しくするわ。必要なら分身飛ばしてもいいし。本体はソファでくつろがせていただきます。」
エフェクトは降参しながら、笑いました。
「それはそうと、あの白龍の子は?」
紫乃は、隣の部屋で美雨が遊ばせている白龍の子をちらりとみました。
「ええ。」
と、エフェクトもすこし視線を下げます。
白龍の子。
アズマとエフェクトの一家が育てることになったこの新しい命は、ある日いきなり美雨が拾ってきてしまった卵から生まれたのでした。
エフェクトは卵がかえるまで世話をしていたのですが、生まれてからの子守りはほとんどが美雨の役目。
この日エフェクトと美雨は、幼い白龍の子をつれて朔間を訪れた帰りでした。
「やっぱり見えないみたい。もともと、視覚にあたるものがない、と言われたわ。」
「そう。」
白龍の子は、よちよちと歩き出すくらいになってから様子がおかしいことに美雨がやっと気づきました。
どうやら物がはっきり見えてない様子…
そう美雨がエフェクトに告げた途端に、その子の目は瞳が真っ白に変化したのです。
目をぱっちりと開けた可愛い幼い子。
なのに、その白い目は光も闇も何も捕らえていませんでした。
つづく。
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ぷんぷん怒るエフェクトの話をきいて、ころころと笑ったのは、紫乃。
エフェクトはクリスタル城の紫乃の居室を訪れて、午後のティータイムを一緒に楽しんでいました。
「アズマも心配が先にでちゃったのね。
だって、アズマがいままであなたを必死に探した時って…」
紫乃の言葉に、エフェクトは降参しました。
いままでアズマが血相変えてエフェクトを必死に探したのは3回。
最初はエリア4で息子ともども妖怪に食べられかけて
次は地球上で事故、暴行、そして恐らく止めが入らなければ自刃。
さらに最後のは、伽羅弧の海のなかで流産し仮死状態になってた…と。
「護りの存在」であるアズマをここまできりきり舞いさせて己の命を危険にさらしてしまった実績を鑑みると、「信用がなくなった」と言われても仕方ありません。
「いう事きかないと、北牢に閉じ込めるなんて言うのよ。」
それでもぶつぶつ言うエフェクトのふくれ顔に、さらに紫乃は大笑いしました。
「順調なようね。」
紫乃はそっとエフェクトのお腹に触れました。
妊娠・出産のサポートといえば紫乃のもともとの能力。
紫乃のエネルギーのそばにいると、妊娠初期のちょっとしたパワーダウンもすぐ回復する気がします。
「地球へのサポートは、遠隔でもできるのでしょう?」
紫乃の言葉に、エフェクトは頷きました。
結局、自分自身が好きで飛び回っていたかっただけ。
それを認めました。
「しばらくは大人しくするわ。必要なら分身飛ばしてもいいし。本体はソファでくつろがせていただきます。」
エフェクトは降参しながら、笑いました。
「それはそうと、あの白龍の子は?」
紫乃は、隣の部屋で美雨が遊ばせている白龍の子をちらりとみました。
「ええ。」
と、エフェクトもすこし視線を下げます。
白龍の子。
アズマとエフェクトの一家が育てることになったこの新しい命は、ある日いきなり美雨が拾ってきてしまった卵から生まれたのでした。
エフェクトは卵がかえるまで世話をしていたのですが、生まれてからの子守りはほとんどが美雨の役目。
この日エフェクトと美雨は、幼い白龍の子をつれて朔間を訪れた帰りでした。
「やっぱり見えないみたい。もともと、視覚にあたるものがない、と言われたわ。」
「そう。」
白龍の子は、よちよちと歩き出すくらいになってから様子がおかしいことに美雨がやっと気づきました。
どうやら物がはっきり見えてない様子…
そう美雨がエフェクトに告げた途端に、その子の目は瞳が真っ白に変化したのです。
目をぱっちりと開けた可愛い幼い子。
なのに、その白い目は光も闇も何も捕らえていませんでした。
つづく。
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Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(0)
│龍物語
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。