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2009年07月03日

第3話 コントロール [白龍物語]

第3話 コントロール

エフェクトは、心地よいソファに深く腰掛けて休んでいました。
そのうちいつの間にか眠ってしまったよう。

エフェクトの異常に最初に気づいたのは、外出先(寺子屋)から帰ってきた遥珂でした。
とことこと真っ先にエフェクトのところへ行き、小さな手でエフェクトの手を叩いたりゆすろうとしたのです。

美雨は
「寝てるようだからそっとしておいてね」
と遥珂を止めようとして、エフェクトの蒼い顔に気がつきました。
「お母さま?!」

第3話 コントロール [白龍物語]

エフェクトは昏睡状態に陥ってました。

美雨の叫びをキャッチしてアズマがすぐにかけつけ、エフェクトはすぐクリスタル城の医務院へ運び込まれました。

「出産のエネルギーが残ってないのです。いいから取り出してしまいなさい。」

朔間は医務官に指示すると、一緒に手術室に入っていきました。
そしてほどなく生まれた卵をもってくると、アズマに手渡しました。
「エフェクトは暫く入院です。この子はあなたが孵しなさい。」


「…アズマ。」
かけつけた紫乃にうながされて、アズマは卵を手にだいたまま、紫乃の居室へと移動しました。

ここまで生体エネルギーがダウンしていると、むしろ紫乃のエネルギーでは強すぎる。
そのため、完全に医務官に任せるしかありませんでした。

紫乃は卵を愛しそうに撫でてから
「とても元気な子だわ。少しエネルギーを送るわね。」
と、生まれたての卵に必要なエネルギーを送りました。

それからずっと黙ったままのアズマにお茶をすすめ、自らもゆっくりとお茶を飲みました。

「アズマ。どうしてエフェクトが根源からのエネルギーを受け取れないか、考えた事ある?」

アズマはまさにその事を考えていたのでした。
何が原因でシャットアウトするのか。どうしても解せない。

「エフェクトがあなたに相談せずに勝手な行動をしてきたことも。結局、原因は同じことなのよ。」
アズマは驚きました。

紫乃はアズマの顔を、赤い瞳でじっと見つめました。
「なぜ、エフェクトに禁止だの北牢にいれるだのと言ったの?」

アズマは紫乃が何を言いたいのか理解しました。

 そうか…俺は、エフェクトを縛りつけようと…
 コントロールしようとしてたのか。
 
そうすると思い当たることは幾らでもあります。

もともと、プロポーズの時からそうでした。
返事も聞かずに強引にポータルでつないでしまっていた。
そして無理やり一緒に住み込んだ。

エフェクトが長城を壊したあの騒ぎ。
「奥方様」と呼ばれることを極端に嫌がったこと。
何も相談せずに勝手にエリア4に降りたこと。地球に逃げた事。海に逃げた事。

…原因は夫のコントロールに対する反応だったとすると、合点がいきます。

アズマは深いため息をつきました。
「…すべて俺のせいか…」

紫乃はちょっと目をふせました。
「それもあるけど。それだけじゃないわ。
 根源からのエネルギーすら受け取らないほど心を閉じていたという事は…」

エフェクトの魂は若いのよ…。

紫乃のその言葉に、アズマはうなずきました。

もともと、エフェクトは親が居て生まれた存在ではありませんでした。
伽羅弧が出来てから。
地上の存在に伽羅弧をつなぐための存在が必要とされ、根源からのエネルギーと伽羅弧のクリスタルのエネルギーを用いて新たに生み出された存在。

アカシックの記憶を持ってはいるものの、それは全体の魂が持つ記憶。
エフェクト自身は、初めて生まれ出たばかりの魂だったのです。
そしてその分根源に近く、強いエネルギーを秘めていました。

しかしそれは、数多い転生を繰り返し、体験を積み重ねてきた紫乃やアズマに対し、エフェクト自身も気づかぬ小さなコンプレックスとなっており。

自らのエネルギーコントロールを把握しきれていないという不安が増すほどに根源との関係をシャットアウトしようとする無意識の心を生んでいたのです。

そしてその心は知らず知らずのうちに、夫からの強引なコントロールへの反発ともなり、エフェクト自身の妙な行動を引き起こしていたのでした。


アズマは思い出しました。
エフェクトがアズマの愛を受け取る、と告げてくれた時のことを。

あの時アズマはただ、エフェクトを包んで待っていました。仮死状態から回復するのを。

 …待っていればよかったんだ。
 心を開けるように、そういう環境を作って。

アズマはうなずきました。
「ありがとう。見落としていたよ。」

紫乃はにっこりと笑いました。
「姉としての忠告よ。口出す気はなかったので見守っていたけど、このままじゃエフェクトの命にかかわる事態だもの。」

それから「どうする?」と、卵のほうへ視線をおとしました。

クリスタル城に移って卵が孵るまで紫乃のエネルギーのサポートを受けるか、それともいままで通り、長城と塔で暮らすのか。

アズマはうなずきました。
「世話になる…といいたいが、美雨と話し合ってみるよ。」

アズマは、やはり娘にも強引な態度で接していたな、と反省しました。
そしてそれははっきりと美雨の態度に現れていました。

美雨は、自分自身の意思をはっきりと告げたことがなかったのです。

それは単に大人しいというだけではなく。
まかせっきりで殆ど自分で考えようとしない、という状態に陥ってるという事に、アズマはやっと気がついたのでした。


つづく。
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つぶやき。
つぶやき。(2013-02-21 14:21)


Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(5)龍物語
この記事へのコメント
わかります!とっても。

夫にコントロールされるのは非常ーーーに嫌

あぁ。夫にも読ませたいです
Posted by テン at 2009年07月06日 09:41
わかります!とっても。

そうか。
私も受け取れないのは夫のコントロールが原因かと気づきました
夫にコントロールされるのは非常ーーに嫌ぁぁぁ
Posted by テン at 2009年07月06日 09:48
テンさん:
 これはねー、コントロールさせちゃう方にも
 内観テーマがあるんですよ~、実は。^^;
Posted by pyopyo at 2009年07月06日 12:04
重複していたことに今気づきましたm(__)m

内観テーマ
今日リーデングを受けてきたのだけど‥
ズバリ繋がりました

まだまだ私が拒否してるんですね

(>_<)
Posted by テン at 2009年07月06日 23:47
テンさん:
 二重三重の気づきになっちゃったんですね~^^;
Posted by pyo at 2009年07月06日 23:50
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。
 
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