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2009年07月26日

第43話 婚姻の儀式[白龍物語 第6章]

白龍物語
第6章 旅立ち


第43話 婚姻の儀式

伽羅弧のご神体とされている、巨大クリスタルのある部屋。
そこは、くるくると自転するクリスタルを中心に置いた、大きなホール。

クリスタルは超立方体と呼ばれる形状で常にくるくると回転しており、同時に内部から強いエネルギーを周囲に放射していました。

第43話 婚姻の儀式[白龍物語 第6章]

婚姻の儀式に入る直前。
美雨は自分の中にあるクリスタルを取り出し分割して、控え室に姉を訪れた弟たちに渡しました。

「…お姉ちゃん。ダメだよ。受け取れないよ。」
断ろうとした遥珂に美雨は輝く笑顔で説明しました。

「私はいいの。径さんにもクリスタルはないし。
 私たちは二人で新しい生活を築いていくわ。
 それよりあなたたちは何度も伽羅弧から出て宇宙を飛んでいるでしょう?
 これからこれが必要になるのはむしろあなたたちの方よ。」

遥珂とウェイは躊躇したものの、付き添っていたエフェクトが肯いたので結局それぞれのクリスタルの中に入れました。

 …でも。いいんだろうか…。

その迷いはそのあと払拭される事になります。



婚姻の儀式は、アマテラス一家とスサノオの一家だけが参列。

アーシャス、紫乃に続き零、円(まどか)、縁(ゆかり)、路(みち)そして双子の仁(じん)と彩(さい)が並び、最後に廻が席につきました。

アズマの一家はアズマ、エフェクト、妹の結婚式に出席するため帰ってきた為信、そして遥珂とウェイが続き。

クリスタルの光のエネルギーが苦手な為信はその影響を弱める力を己の周りに張り巡らせており、ついでにそのガードを遥珂の周りにも広げました。そのため今回は特段心配することもなく。



儀式は大神官夜希と朔間が取り運び。
新郎新婦の二人はクリスタルの前に静かに進み出ました。

新郎の径は白い、詰襟そして華麗な金糸銀糸の刺繍が施された服をすらりと着こなしていました。
それは彼の青白色の髪と赤い瞳、そして幸せの中にもどこか翳りのある雰囲気にマッチして、不思議と魅力的なオーラを醸し出しています。

新婦の美雨はまるで天女の羽衣だけで作られたかのような薄衣を何枚も重ね合わせたウェディングドレスを着ていました。
それは動くたびに柔らかく七色の虹が内部で輝くよう。

金色に輝く美しいティアラで止められた、頭からすっぽりと被ったベールは足元まで届き、さらに彼女の後ろになだらかなラインを描いてリボンのように流れています。


二人は大神官の誘導で婚姻を誓いあい、その契約の証としてアカシックにつながる書類にそれぞれのエネルギーでサインを入れました。

径が美雨のベールをそっとあけて二人が口づけを交わすと、拍手が起こります。


その瞬間。
いきなりご神体のクリスタルが強く光り、二人はその強い光の中に呑みこまれました。




しばらくしてクリスタルの輝きが通常に戻った時。
径と美雨の中には、いままでと違う陰陽のクリスタルが入っていました。

それは、陰陽和合の力をもつ新たなクリスタル。

二人はとまどい、そして大神官の横で朔間がいつもの無表情をくずさずに肯いたのを確認しました。


生まれたときからクリスタルを持たなかった径。
アマテラスの神子、それも長男として生まれながらクリスタルを持たないことは、密かに彼自身のコンプレックスとなっていました。

しかし彼はそれを美雨のおかげで乗り越え、そうして今新たに二人ともより強いクリスタルを得る事が出来たのです。

それは、ご神体のクリスタルからの婚姻のお祝いだったのかもしれません。
ただその直前に、そっと、紫乃と大神官夜希が視線を交わしてたのですが。
そのことに気付いたのはほんの僅かでした。




結婚式のあと。
披露宴は改めて場所を変えて行われました。

エリア1に面した、崖の途中にある大きな広場。
そこは新たに準備された二人の新居のすぐ近くにありました。


つづく。
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つぶやき。
つぶやき。(2013-02-21 14:21)


Posted by 町田律子(pyo) at 19:00│Comments(0)龍物語
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。
 
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