2009年08月17日
第28話 伊邪那美の課題[赤龍物語]
第28話 伊邪那美(イザナミ)の課題
一瞬、空気が凍るような感覚があり。
はっとして、アズマと径は座っていた場所から飛び退きました。
その瞬間に、二人がいた場所にガガン!と落雷。
一瞬、空気が凍るような感覚があり。
はっとして、アズマと径は座っていた場所から飛び退きました。
その瞬間に、二人がいた場所にガガン!と落雷。
「エフェクト!何をする!」アズマが叫びました。
「酔いが醒めたじゃないか!」
すーっと下りてきた黄龍はエフェクトに姿を変えて降り立つと、落ちていた酒瓶を拾い上げました。
「酔っぱらいの絡み酒。ふん。みっともない。」
そしていきなり手にした酒を一気飲み。
「あ!馬鹿!やめろ!」
エフェクトは最後まで飲みきり、けろっとして言いました。
「あんま美味しくない。酔わないし。」
「ザルに飲ます酒じゃない。酔わん奴が飲むなよ。せっかくの仙人の酒…」
エフェクトはぶつぶつ言うアズマを「はいはい。」とあやす様に笑うと、径に言いました。
「美雨はちゃんと家にいるわよ。ここは明日片付けるから。アズマがあなたに見せるって、片づけさせなかったのよ。」
じゃね。
と、二匹の龍は長城に上っていきました。
径は、しばらく車椅子の残骸をひとり見つめていました。
そこからふわりとひとつのメッセージが漂ってきます。
径はそのエネルギーにふれ、エフェクトがそっと寄越したメッセージだと気づきました。
それは、一言だけでした。
『イザナミの課題』。
イザナミの課題…?
径は、考えようとしてふいに酔いを感じました。
少し…頭を冷やそう。
ザー・・・と、滝の音が耳に入ってきます。
径は水に入ると滝の下まで泳ぎ座れる場所をみつけて座禅を組みました。身を切るような冷たい滝の水が頭上から強い勢いで降り注ぎます。
イザナミの課題…。
記憶の情報倉庫から情報を取り出し、読みこみます。
そして愕然としました。
『火の神カグツチを産んだために亡くなったとされるイザナミは、その後、黄泉の国の主宰神となった。』
まさか美雨が…次の黄泉津大神(よもつおおかみ)に…?
その候補に選ばれていたのか…?!
径はいま地球の神々が交代の時期を迎えていることを思い出しました。
黄泉の国に送り出す…そのぎりぎりの段階なのか?
それでも俺は向き合わずに仕事に逃げていたのか…!!!
径は酔いが一気に醒め、身体が震え出すのを感じました。
そうだ。
俺は、いつも逃げる言い訳ばかり。
後悔ばかりで向き合わずに…
そしてはっと気づきました。
美雨が…卵が割れる瞬間、
あの炎を予測して卵の上に覆いかぶさったのは…
赤龍を産み落とした、そのことを受け入れてたからか!?
脳裏に、卵が割れて炎が美雨を包んだ、あの瞬間が蘇ります。
俺は…
たとえアパートが燃え落ちたとしても美雨に無事でいてほしかったと…
それしか考えなかった…。
俺は…
径は冷たい滝の水に叩かれながら岩の上に両手をつけて伏し、熱い涙を流し続けました。
俺は、己が赤龍の親であるということからすら、
目を背けていたんだ…。
つづく。
「酔いが醒めたじゃないか!」
すーっと下りてきた黄龍はエフェクトに姿を変えて降り立つと、落ちていた酒瓶を拾い上げました。
「酔っぱらいの絡み酒。ふん。みっともない。」
そしていきなり手にした酒を一気飲み。
「あ!馬鹿!やめろ!」
エフェクトは最後まで飲みきり、けろっとして言いました。
「あんま美味しくない。酔わないし。」
「ザルに飲ます酒じゃない。酔わん奴が飲むなよ。せっかくの仙人の酒…」
エフェクトはぶつぶつ言うアズマを「はいはい。」とあやす様に笑うと、径に言いました。
「美雨はちゃんと家にいるわよ。ここは明日片付けるから。アズマがあなたに見せるって、片づけさせなかったのよ。」
じゃね。
と、二匹の龍は長城に上っていきました。
径は、しばらく車椅子の残骸をひとり見つめていました。
そこからふわりとひとつのメッセージが漂ってきます。
径はそのエネルギーにふれ、エフェクトがそっと寄越したメッセージだと気づきました。
それは、一言だけでした。
『イザナミの課題』。
イザナミの課題…?
径は、考えようとしてふいに酔いを感じました。
少し…頭を冷やそう。
ザー・・・と、滝の音が耳に入ってきます。
径は水に入ると滝の下まで泳ぎ座れる場所をみつけて座禅を組みました。身を切るような冷たい滝の水が頭上から強い勢いで降り注ぎます。
イザナミの課題…。
記憶の情報倉庫から情報を取り出し、読みこみます。
そして愕然としました。
『火の神カグツチを産んだために亡くなったとされるイザナミは、その後、黄泉の国の主宰神となった。』
まさか美雨が…次の黄泉津大神(よもつおおかみ)に…?
その候補に選ばれていたのか…?!
径はいま地球の神々が交代の時期を迎えていることを思い出しました。
黄泉の国に送り出す…そのぎりぎりの段階なのか?
それでも俺は向き合わずに仕事に逃げていたのか…!!!
径は酔いが一気に醒め、身体が震え出すのを感じました。
そうだ。
俺は、いつも逃げる言い訳ばかり。
後悔ばかりで向き合わずに…
そしてはっと気づきました。
美雨が…卵が割れる瞬間、
あの炎を予測して卵の上に覆いかぶさったのは…
赤龍を産み落とした、そのことを受け入れてたからか!?
脳裏に、卵が割れて炎が美雨を包んだ、あの瞬間が蘇ります。
俺は…
たとえアパートが燃え落ちたとしても美雨に無事でいてほしかったと…
それしか考えなかった…。
俺は…
径は冷たい滝の水に叩かれながら岩の上に両手をつけて伏し、熱い涙を流し続けました。
俺は、己が赤龍の親であるということからすら、
目を背けていたんだ…。
つづく。
「イザナギ」
『イザナミが、火の神であるカグツチを産んだために陰部に火傷を負って亡くなると、そのカグツチを殺し(その血や死体からも神が生まれる)、出雲と伯伎(伯耆)の国境の比婆山に埋葬した。
しかし、イザナミに逢いたい気持ちを捨てきれず、黄泉国まで逢いに行くが、そこで決して覗いてはいけないというイザナミとの約束を破って見てしまったのは、腐敗してウジにたかられ、雷(いかづち)に囲まれたイザナミの姿であった。
その姿を恐れてイザナギは逃げ出してしまう。追いかけるイザナミ、雷(いかづち)、黄泉醜女(よもつしこめ)らに、髪飾りから生まれた葡萄、櫛から生まれた筍、黄泉の境に生えていた桃の実(意富加牟豆美命、オオカムズミノミコト)を投げて難を振り切る。
黄泉国と地上との境である黄泉比良坂(よもつひらさか)の地上側出口を大岩で塞ぎ、イザナミと完全に離縁した。』
「イザナミ」
「死後、イザナミは、自分に逢いに黄泉国までやってきたイザナギに腐敗した死体を見られたことを恥じ、恐怖で逃げるイザナギを追いかける。しかし、イザナミに対してイザナギが黄泉国と地上の境である黄泉比良坂(よもつひらさか)で道を塞ぎ、会えなくしてしまう。そして、イザナミとイザナギは離縁した。
この後、イザナミは黄泉国の主宰神となり、黄泉津大神、道敷大神と呼ばれるようになった。」
Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(4)
│龍物語
この記事へのコメント
てぃーだのトップから写真に惹かれてきました~(^0^)
どこの水ですか?(笑)
どこの水ですか?(笑)
Posted by 雫 at 2009年08月17日 08:50
一滴ちゃん:
えーと約十年前の…^^;どこだっけ。
比地大滝…だったかなぁ。
えーと約十年前の…^^;どこだっけ。
比地大滝…だったかなぁ。
Posted by pyo at 2009年08月17日 19:36
ター滝だと思います・・・と思って調べたらやっぱりター滝でした。(^^;)
http://asbestos.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_c785.html
ター滝行きたいんですよねー・・・・
ター滝の写真だから食いついたんだと思います(笑)
夏の間にいけるかしら(´;ェ;`)
http://asbestos.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_c785.html
ター滝行きたいんですよねー・・・・
ター滝の写真だから食いついたんだと思います(笑)
夏の間にいけるかしら(´;ェ;`)
Posted by 雫 at 2009年08月17日 21:11
一滴ちゃん
自己完結してるし。(笑)
いま聞いたら、ター滝でした。
自己完結してるし。(笑)
いま聞いたら、ター滝でした。
Posted by pyo at 2009年08月17日 21:43
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。