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2009年08月20日

戸惑い(彩河・ウェイ4)

戸惑い (彩河・ウェイ 4)
written by いをる


油断した。そんなつもりはなかった。
このままうまくかわし、ずっとお友達のままでいるつもりだったのに。
あんな事を言われてしまったら、もうこれまでのようにはいかなくなってしまう。

掴まれていた腕がとても熱かった。


戸惑い(彩河・ウェイ4)

悶々としたまま、家についた。
どこをどう飛んできたかわからなかった。


姉のウィルはいつもと様子が違うことに目聡く気づいた。いつもなら苛立ちの気配がするのに、今日は完全に戸惑いを感じたからだ。いつもの覇気が全くない。
事実、彩河は完全に戸惑っていた。


「・・・紅茶、淹れるわね。淹れたら部屋に持って行くわ。」テーブルに座っていた姉は、ダイニングに来ようとしない彩河に優しくほほえんでキッチンへと立った。
今日は、何も聞かずにいてくれるつもり、らしかった。

気遣いがありがたかった。正直混乱しすぎていたので、姉にすらどう話していいかわからなかったのだ。
とりあえず気持ちを落ち着かせたい。
彩河は自室に籠もることにした。



姉が持ってきてくれた紅茶を一口飲んだ。
優しい香りと姉の柔らかいエネルギーが伝わって来て、彩河はふぅと息を吐き出した。少し落ち着いてきた気がする。
そのままふらふらと移動して、ベッドに横向きに倒れ込んだ。

ウェイの表情や言葉が、頭の中をぐるぐる回る。
彼が掴んでいた左腕はまだ熱かった。彼の想いがまとわりついているかのようだった。あのとき、言葉で彩河の脳裏に響いてきた以上の想いが、腕から流れ込んできた・・・。

「・・・どうしよう・・・」仰向けになり、両手で顔を覆う。
こんな風に、自分の思いをまっすぐにぶつけてくる相手を、彩河は知らなかった。というより、今までほとんど姉しか知らない。


次に会うときどんな顔をして会えばいいかわからない。何かしらの答えを出さなくてはならないのだ。すごく憂鬱だった。

なぜ自分がこんなに頭を悩ませなければならないのか。
もう何も考えたくなかった。



つづく。



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Posted by 町田律子(pyo) at 19:00│Comments(2)龍物語
この記事へのコメント
うわぁー。悩んでるー。
個人的に「好きです」ってストレートに人に言った側の人間なもので、彩河ちゃんの悩み方が気になってたりします。(「友人が一番良いのに言われちゃったよー」って)
ドキドキ。
それにしても、ツインが居る場合ツインのみと恋愛関係になるのかと思ってたけどそういうわけじゃないんですね。
そういう方が良いな。
彩河ちゃんは悩んでるけど、なんだかお話の雰囲気がほのぼの可愛いですね^^
Posted by ひつじ at 2009年08月20日 23:34
●ひつじさん
悩んでるけどほのぼのですよね~。^^
私も新鮮でした、このお話。
Posted by pyopyo at 2009年08月21日 12:25
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。
 
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