2009年08月31日
第16話-回想2[青龍物語]
第16話 回想2
黒龍の木を青夢がかじってしまった時。
それを渡してしまった為信の表情。
それは、母に抱きしめて「大丈夫」と安心させてほしい…と、愛情を求める目をしていました。
黒龍の木を青夢がかじってしまった時。
それを渡してしまった為信の表情。
それは、母に抱きしめて「大丈夫」と安心させてほしい…と、愛情を求める目をしていました。
しかしエフェクトはまず泣き叫ぶ青夢を抱き上げ、毒を出すことを優先し。
為信を安心させるためには声をかけて額にキスをしただけで。
その結果。
為信は家を出て。
青夢は命を失い。
二人の息子を同時に失ったエフェクトは、それが自分自身の優柔不断な愛情が招いた結果のような気がしてたまりませんでした。
そして家出したまま帰らない為信をそのままに、青夢の魂を抱きしめたまま泣き続ける日々を送ったのです。
「…ずっと、考えないようにしてきたの。」
エフェクトは再び涙をあふれさせました。
「青龍の子をちゃんと育てたかった。
あなたの子を。
あなたそっくりの子を。
だけどきっとその思いで、為信まで苦しめてしまった。
私の勝手な約束であなたもあなたの子も為信も巻き込んで…
わたしって何やってるんだろうって…」
「まて!エフェクト。」
アズマは妻の肩を掴んで、顔を覗き込みました。
「お前は勘違いしている。
最初からだ。
まさか青龍だけが俺の子だと思ってたのか?」
「違うだろう?
いいか、為信も、俺とお前の子だ。
魂がどこからこようと、種族が違っていようと関係ない。」
「為信は確かに黒龍だが俺の武神の力と闘い方を、受け継いでくれた。
太刀筋や戦闘方法だけじゃない。確かに俺が教えたから似てくる。
だが悪魔のようなと言われたあの戦い方そのものがそっくりなんだ。教えられただけであそこまでできるもんじゃない。だからこそ草薙の剣を渡したんだよ。乗り越えると解ってたからな。」
「為信はちゃんとお前の愛情を受け取っていたよ。
あとはあいつ自身の課題だ。
それを乗り越えるのにお前の愛情はどれだけ力になったかしれやしない。」
アズマは、優しい目をしてエフェクトの髪をそっとなでました。
「俺は、お前そっくりの美雨が育つのをいつも楽しみにしていたよ。
お前に子ども時代があればきっとこうだったんだろうなと思いながらな。
エフェクト。美雨が紅を産んだとき命をかけて卵を守れたのは、
お前が母親の愛情をきちんと見せて、示して育てたからだ。
お前だったらやはり命をかけて守ったろう。
その事を美雨はよく知っているんだよ。
遥珂も、それを知っているから砂漠にすぐ飛び込まなかったんだ。」
「遥珂も、ウェイも。
素直で愛情にあふれて、どこに飛んでいこうが誰に接しようが素直で明るい。ウェイがどれだけストレートに人を褒められるのか、話をきいただろう?」
「お前は子どもたちみんなが奢ったり足りないものがあるなんて感じる事がないように、どこにいようと自らの力で生き抜いていけるようにちゃんと育て上げた。
見事に、育て上げたんだよ。」
エフェクトの金色の瞳が、すがるようにアズマを見つめていました。
アズマは優しい目でその視線に籠められた想いを受け止めました。
「ウェイはな、俺によく似ているが、成長したら黄龍になってくれた。
あいつはよくわかってるよ。
知ってるか?あいつはそう思えば青龍になれるんだよ、いつでも。」
「え?…そうなの?」
「ああ。面白いことにな。
一度やってみせてくれたよ、表面にだす鱗を換えるだけでいいらしい。
それどころか白龍のふりもできるとか言ってたぞ。」
アズマはふふっと笑みを浮かべました。
そして真面目な顔になり。
エフェクトの顔をじっとみて、低い声でききました。
「なぜ、青龍にこだわったんだ?」
つづく。
為信を安心させるためには声をかけて額にキスをしただけで。
その結果。
為信は家を出て。
青夢は命を失い。
二人の息子を同時に失ったエフェクトは、それが自分自身の優柔不断な愛情が招いた結果のような気がしてたまりませんでした。
そして家出したまま帰らない為信をそのままに、青夢の魂を抱きしめたまま泣き続ける日々を送ったのです。
「…ずっと、考えないようにしてきたの。」
エフェクトは再び涙をあふれさせました。
「青龍の子をちゃんと育てたかった。
あなたの子を。
あなたそっくりの子を。
だけどきっとその思いで、為信まで苦しめてしまった。
私の勝手な約束であなたもあなたの子も為信も巻き込んで…
わたしって何やってるんだろうって…」
「まて!エフェクト。」
アズマは妻の肩を掴んで、顔を覗き込みました。
「お前は勘違いしている。
最初からだ。
まさか青龍だけが俺の子だと思ってたのか?」
「違うだろう?
いいか、為信も、俺とお前の子だ。
魂がどこからこようと、種族が違っていようと関係ない。」
「為信は確かに黒龍だが俺の武神の力と闘い方を、受け継いでくれた。
太刀筋や戦闘方法だけじゃない。確かに俺が教えたから似てくる。
だが悪魔のようなと言われたあの戦い方そのものがそっくりなんだ。教えられただけであそこまでできるもんじゃない。だからこそ草薙の剣を渡したんだよ。乗り越えると解ってたからな。」
「為信はちゃんとお前の愛情を受け取っていたよ。
あとはあいつ自身の課題だ。
それを乗り越えるのにお前の愛情はどれだけ力になったかしれやしない。」
アズマは、優しい目をしてエフェクトの髪をそっとなでました。
「俺は、お前そっくりの美雨が育つのをいつも楽しみにしていたよ。
お前に子ども時代があればきっとこうだったんだろうなと思いながらな。
エフェクト。美雨が紅を産んだとき命をかけて卵を守れたのは、
お前が母親の愛情をきちんと見せて、示して育てたからだ。
お前だったらやはり命をかけて守ったろう。
その事を美雨はよく知っているんだよ。
遥珂も、それを知っているから砂漠にすぐ飛び込まなかったんだ。」
「遥珂も、ウェイも。
素直で愛情にあふれて、どこに飛んでいこうが誰に接しようが素直で明るい。ウェイがどれだけストレートに人を褒められるのか、話をきいただろう?」
「お前は子どもたちみんなが奢ったり足りないものがあるなんて感じる事がないように、どこにいようと自らの力で生き抜いていけるようにちゃんと育て上げた。
見事に、育て上げたんだよ。」
エフェクトの金色の瞳が、すがるようにアズマを見つめていました。
アズマは優しい目でその視線に籠められた想いを受け止めました。
「ウェイはな、俺によく似ているが、成長したら黄龍になってくれた。
あいつはよくわかってるよ。
知ってるか?あいつはそう思えば青龍になれるんだよ、いつでも。」
「え?…そうなの?」
「ああ。面白いことにな。
一度やってみせてくれたよ、表面にだす鱗を換えるだけでいいらしい。
それどころか白龍のふりもできるとか言ってたぞ。」
アズマはふふっと笑みを浮かべました。
そして真面目な顔になり。
エフェクトの顔をじっとみて、低い声でききました。
「なぜ、青龍にこだわったんだ?」
つづく。
Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(0)
│龍物語
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。