2009年10月28日
転生7-幼児期[伽羅孤3]
アズマは小さなエフェクトを片時も手放さず、一人で育てていました。
美雨は楽しそうにエフェクトを育てているアズマを見て微笑みました。
「お父さま、本当に嬉しそう。」
「エフェクトは子ども時代をほしがっていたからな。」
アズマは美雨にこたえました。
「念願の子ども時代だ、たっぷり楽しんでもらおうじゃないか。」
「まぁ。」
美雨はふふっと笑いました。
美雨は楽しそうにエフェクトを育てているアズマを見て微笑みました。
「お父さま、本当に嬉しそう。」
「エフェクトは子ども時代をほしがっていたからな。」
アズマは美雨にこたえました。
「念願の子ども時代だ、たっぷり楽しんでもらおうじゃないか。」
「まぁ。」
美雨はふふっと笑いました。
青夢(セーム)は最初は少しとまどったように赤ん坊のエフェクトを迎えました。
しかしそのうち受け入れたようで、幼児向けの楽器やおもちゃを作ってエフェクトにプレゼントしました。
幼児時代のエフェクトは、金色の目をくるくるとまわして好奇心いっぱいに走り回る子でした。
美雨が可愛いリボンをつけてあげると、そのリボンをほどいてながめ、十分いじってから元通りにならないと泣きだすしまつ。
もう一度結んであげて笑い顔をみると、美雨は「やっぱり似てるわ」とにっこり微笑みました。
ある日、エフェクトの泣き声でアズマがかけよると、
エフェクトは青夢からプレゼントされた楽器を壊してしまっていました。
「エフェクト、この楽器で何をしようとしたんだ?」
アズマがたずねると、エフェクトは一生懸命説明しようとしました。
たどたどしい説明から、どうやら楽器の構造をみようとしたんだと推測。
アズマは壊れた楽器を青夢に修理してもらいながら、楽器の使い方をエフェクトに教えてもらいました。
そうして、エフェクトがちょっと育った・・・幼児期を抜けたくらいの頃から。
悪戯がひどくなりました。
「こりゃ、ウェイのあの悪戯はエフェクトに似たのか」
と、アズマがうなったほどの悪戯っ子。
それでもアズマはクリスタル城やほかのエリアにエフェクトがいかないようにエネルギーコントロールをこっそりやっていて、遥珂とウェイのようには悪戯の被害が他に及ぶことはないようにしていました。
そのため幼いエフェクトにとって世界は西塔とエリア1の森と川と海が中心。
一緒にすごすのはいつもアズマでした。
ほとんど人目にさらさずに育てていたのですが
転生したエフェクトをアズマが育てているのは、周知のことのようでした。
エフェクトが初めて大勢の人をみたのが、美雨のコンサートでした。
「お父さま、エフェクト。森で童話のコンサートをしますわ。どうぞいらしてくださいね。」
エフェクトの死以来、他の星でのコンサートをしなくなっていた美雨は、時折伽羅孤のあちこちでコンサートを開いていました。
エリア2の街中でのこともあれば、エリア3の宙港待合室でのこともあり。
今回は、あえて他のひとたちが殆ど入れないエリア1の森の中で、エリア1で働く天子たちを対象にコンサートを計画したのです。
「こんさーと?」
エフェクトは首をかしげました。
時々、美雨に絵本の読み聞かせをしてもらってはいたものの、朗読家としての美雨のコンサートは見たことも聞いたこともありませんでした。
「ええ。音楽は青夢がやるわ。」
「それは楽しみだな。ぜひみせてもらうよ。」
アズマはうなずきました。
森の中の木立を邪魔しないように設置された小さなステージ。
切り株や丸太を渡した椅子。
あちこちの枝にかけられたいくつものランタン。
日が暮れて。
暗い森の中にランタンの明かりがともり、会場そのものが幻想的な世界を醸し出しています。
そこに人々が静かに集まってきました。
初めて多くの人々をみてきょろきょろとしているエフェクトをひざに乗せ、アズマは静かに前だけみるように声をかけました。
やがて観客席のランタンが徐々に明るさを落としていき、ステージの影にいる青夢の姿が浮かび上がってきます。
青夢の奏でる柔らかなギター演奏が森の静けさを際立たせ、人々も言葉すくなになり。
曲にあわせてランタンの明かりがさらに落とされ、舞台だけが照らされました。
そこに美雨が登場し、物語の朗読をはじめると
まるで目の前に物語の世界がそのまま展開されているよう。
少女期の入り口にいるエフェクトは目を輝かせて物語の世界に聞き入っていました。
つづく。
しかしそのうち受け入れたようで、幼児向けの楽器やおもちゃを作ってエフェクトにプレゼントしました。
幼児時代のエフェクトは、金色の目をくるくるとまわして好奇心いっぱいに走り回る子でした。
美雨が可愛いリボンをつけてあげると、そのリボンをほどいてながめ、十分いじってから元通りにならないと泣きだすしまつ。
もう一度結んであげて笑い顔をみると、美雨は「やっぱり似てるわ」とにっこり微笑みました。
ある日、エフェクトの泣き声でアズマがかけよると、
エフェクトは青夢からプレゼントされた楽器を壊してしまっていました。
「エフェクト、この楽器で何をしようとしたんだ?」
アズマがたずねると、エフェクトは一生懸命説明しようとしました。
たどたどしい説明から、どうやら楽器の構造をみようとしたんだと推測。
アズマは壊れた楽器を青夢に修理してもらいながら、楽器の使い方をエフェクトに教えてもらいました。
そうして、エフェクトがちょっと育った・・・幼児期を抜けたくらいの頃から。
悪戯がひどくなりました。
「こりゃ、ウェイのあの悪戯はエフェクトに似たのか」
と、アズマがうなったほどの悪戯っ子。
それでもアズマはクリスタル城やほかのエリアにエフェクトがいかないようにエネルギーコントロールをこっそりやっていて、遥珂とウェイのようには悪戯の被害が他に及ぶことはないようにしていました。
そのため幼いエフェクトにとって世界は西塔とエリア1の森と川と海が中心。
一緒にすごすのはいつもアズマでした。
ほとんど人目にさらさずに育てていたのですが
転生したエフェクトをアズマが育てているのは、周知のことのようでした。
エフェクトが初めて大勢の人をみたのが、美雨のコンサートでした。
「お父さま、エフェクト。森で童話のコンサートをしますわ。どうぞいらしてくださいね。」
エフェクトの死以来、他の星でのコンサートをしなくなっていた美雨は、時折伽羅孤のあちこちでコンサートを開いていました。
エリア2の街中でのこともあれば、エリア3の宙港待合室でのこともあり。
今回は、あえて他のひとたちが殆ど入れないエリア1の森の中で、エリア1で働く天子たちを対象にコンサートを計画したのです。
「こんさーと?」
エフェクトは首をかしげました。
時々、美雨に絵本の読み聞かせをしてもらってはいたものの、朗読家としての美雨のコンサートは見たことも聞いたこともありませんでした。
「ええ。音楽は青夢がやるわ。」
「それは楽しみだな。ぜひみせてもらうよ。」
アズマはうなずきました。
森の中の木立を邪魔しないように設置された小さなステージ。
切り株や丸太を渡した椅子。
あちこちの枝にかけられたいくつものランタン。
日が暮れて。
暗い森の中にランタンの明かりがともり、会場そのものが幻想的な世界を醸し出しています。
そこに人々が静かに集まってきました。
初めて多くの人々をみてきょろきょろとしているエフェクトをひざに乗せ、アズマは静かに前だけみるように声をかけました。
やがて観客席のランタンが徐々に明るさを落としていき、ステージの影にいる青夢の姿が浮かび上がってきます。
青夢の奏でる柔らかなギター演奏が森の静けさを際立たせ、人々も言葉すくなになり。
曲にあわせてランタンの明かりがさらに落とされ、舞台だけが照らされました。
そこに美雨が登場し、物語の朗読をはじめると
まるで目の前に物語の世界がそのまま展開されているよう。
少女期の入り口にいるエフェクトは目を輝かせて物語の世界に聞き入っていました。
つづく。
Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(0)
│龍物語
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。