2009年10月29日
転生8-海[伽羅孤3]
「アズマ、海いこ!」
ある日アズマとエフェクトは青夢にその日のパイを届けた後、そのまま海へ散歩にいきました。
ある日アズマとエフェクトは青夢にその日のパイを届けた後、そのまま海へ散歩にいきました。
誘われて、青夢も腰を上げ。
森の出口から海に向かって嬉しそうに走っていくエフェクトを見ながら、アズマと青夢は少し話をしました。
「お父さん。僕はずっと海に来てなかったよ。」
青夢がぽつりという言葉にアズマはうなずきました。
「そうらしいな。」
「お姉ちゃんも伽羅孤から離れなくなったでしょう…。僕はあの日から三日ぐらい、なんとなく落ち着かなくていらいらしてて、ずっと海を散歩したり海岸で寝たり、そうやって過ごしてから小屋に戻ったんだ。そしたらお母さんが亡くなったという報せが届いて。その時にはもうお父さんは出発したあとだった。」
明るい日差しと爽やかな海の風をうけながら、青夢は水平線の向こうに目をやりながらアズマに言いました。
「お父さんなら、僕がどこにいようとお姉ちゃんがどこにいようと、すぐ伝えられたはずだ。…なぜ、報せてくれなかったのですか?」
「ああ、そうだな…。」
アズマは、すこしうつむいて思い出しました。
あの時。
エフェクトの魂を捜しに行くと決心したとき、アズマはすぐに各エリアの自治体に連絡をいれ、留守にすることを告げていました。
そしてアズマがいなくても実務上問題がないように、以前から徐々にシステムの改革をすすめており。
その時にはすでに殆どの体制を作り上げていたのです。
しかし子どもたちの誰にも、アズマはエフェクトの死を報せませんでした。
「為信やウェイにもモンクを言われるかもしれないな。」
アズマはただそういって静かに微笑んだだけで、青夢の疑問には何もこたえませんでした。
「…感情の問題なのですか。これは僕が僕自身で乗り越えなきゃいけないのですね。」
青夢はひとりごとのようにつぶやくと、先にひとりで走っていったエフェクトの方へ目をやりました。
「! お父さん!あれ!」
青夢が指さす方をみると、波打ち際で遊んでいたエフェクトが波にさらわれて海にひきずりこまれるところでした。
「エフェクト!」
二人は走り出し、アズマは瞬間移動でおぼれかけているエフェクトのもとへ現れると彼女を抱き上げました。
うわーん!!
激しく泣き出したエフェクトを抱きしめて無事なことにほっとしたアズマは、あとから追いついた青夢に「大丈夫だ。」とうなずきました。
「なぜ、この海で溺れるなんて?」
青夢は息をきらしながら、不思議そうに言いました。
「エフェクト。何があったんだ?」
アズマはエフェクトを優しくなぐさめながら聞きましたがエフェクトはただアズマの首に強く両腕をまわしてしがみつき、泣き続けるだけでした。
つづく。
森の出口から海に向かって嬉しそうに走っていくエフェクトを見ながら、アズマと青夢は少し話をしました。
「お父さん。僕はずっと海に来てなかったよ。」
青夢がぽつりという言葉にアズマはうなずきました。
「そうらしいな。」
「お姉ちゃんも伽羅孤から離れなくなったでしょう…。僕はあの日から三日ぐらい、なんとなく落ち着かなくていらいらしてて、ずっと海を散歩したり海岸で寝たり、そうやって過ごしてから小屋に戻ったんだ。そしたらお母さんが亡くなったという報せが届いて。その時にはもうお父さんは出発したあとだった。」
明るい日差しと爽やかな海の風をうけながら、青夢は水平線の向こうに目をやりながらアズマに言いました。
「お父さんなら、僕がどこにいようとお姉ちゃんがどこにいようと、すぐ伝えられたはずだ。…なぜ、報せてくれなかったのですか?」
「ああ、そうだな…。」
アズマは、すこしうつむいて思い出しました。
あの時。
エフェクトの魂を捜しに行くと決心したとき、アズマはすぐに各エリアの自治体に連絡をいれ、留守にすることを告げていました。
そしてアズマがいなくても実務上問題がないように、以前から徐々にシステムの改革をすすめており。
その時にはすでに殆どの体制を作り上げていたのです。
しかし子どもたちの誰にも、アズマはエフェクトの死を報せませんでした。
「為信やウェイにもモンクを言われるかもしれないな。」
アズマはただそういって静かに微笑んだだけで、青夢の疑問には何もこたえませんでした。
「…感情の問題なのですか。これは僕が僕自身で乗り越えなきゃいけないのですね。」
青夢はひとりごとのようにつぶやくと、先にひとりで走っていったエフェクトの方へ目をやりました。
「! お父さん!あれ!」
青夢が指さす方をみると、波打ち際で遊んでいたエフェクトが波にさらわれて海にひきずりこまれるところでした。
「エフェクト!」
二人は走り出し、アズマは瞬間移動でおぼれかけているエフェクトのもとへ現れると彼女を抱き上げました。
うわーん!!
激しく泣き出したエフェクトを抱きしめて無事なことにほっとしたアズマは、あとから追いついた青夢に「大丈夫だ。」とうなずきました。
「なぜ、この海で溺れるなんて?」
青夢は息をきらしながら、不思議そうに言いました。
「エフェクト。何があったんだ?」
アズマはエフェクトを優しくなぐさめながら聞きましたがエフェクトはただアズマの首に強く両腕をまわしてしがみつき、泣き続けるだけでした。
つづく。
Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(0)
│龍物語
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。