pyo's room

そんなある日。

アズマが、ふと、壁にかけてあった竪琴を触りました。
「弦が切れているな。」

アズマが竪琴を手にとったときに、バン！と音をたてて、さらに２～３本の弦が切れました。
その音に、パンをこねていたエフェクトがはっとして顔をあげます。

「エフェクト？今の音、聞こえたの？」
美雨の声は聞こえないようでした。
美雨が偶然かしら、と思ったところで、エフェクトはつぶやきました。

『聞こえた…。何の音？』

エフェクトは「声以外」は聞こえるようになっていました。



アズマは、エフェクトに竪琴の弾き方を教えてみました。
エフェクトは自ら奏でる音楽を楽しみ、嬉しそうに色んな曲を覚えていきました。

長城に出て、アズマとエフェクトは二人で竪琴と笛の合奏を楽しみ。
美雨がその横で歌ったり物語を語ることもありました。
エフェクトは美雨の歌声は聞こえないものの、その波動を感じるといって楽しみました。


「それは僕もききたいなぁ。」
話をきいた青夢（セーム）に頼まれて、３人は青夢の小屋まで出かけてみました。

エフェクトは見えなくなって以来の初の外出で、ちょっと緊張しています。

しかし子どもの頃から訪れていた青夢の小屋まではあっさりとたどり着き。
小屋の前のテーブルにかけると、笑顔になって竪琴を奏でました。

アズマの笛がそれに加わり、きいていた青夢がギターを取り出して参加しました。
青夢が大事にしているこのギターもまた‘エフェクトの木’から作ったもの。
エフェクトの奏でる竪琴とあわせると、とてもいい響きになりました。

『お姉ちゃんも何か歌ってよ』
青夢のリクエストに美雨は即興で歌い始めました。

すると、その歌に合わせてエフェクトが自然に一緒に口ずさみ始め。

驚きながらも演奏を続けた一行の前で、エフェクトは美雨に合わせてはっきりと声を出し、歌を歌ったのでした。

「聞こえた！聞こえるわ！歌える！」
エフェクトは、聴力と声を取り戻していました。



そしてさらに数日後。

美雨はアマテラスの力を召喚しながら自らの癒しの力を最大限に使い、エフェクトの目の力を回復させました。

そしてそれは、かつて母が美雨にしてくれたのと同じように
勇気を与え、自らの力で見るようにと呼びかける事で成し遂げたのでした。


つづく。


♪祈りにも似た美しい音楽の世界をありがとう♪　music by KOKIA
祈りにも似た美しい世界 - KOKIA