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2011年06月23日

大地の花8 心積もり

第8話 「心積もり」


 選ぶ道はひとつしかない。

誠意をもって王に仕える。
ランユウはこれまでもそうしてきたし、これからもそうするつもりだった。

 決して個人的感情や欲望のために
 政権を混乱に陥れさせたり民を巻き込んだりすまい。

王国の安定した運営、民の日々の小さな幸せを守ることこそが国を富み栄えさせるのだ、と
ランユウは守護家の養父からそうした教えを受け、それを守ってきた。

そうでなくとも自然災害の多い小さな島の暮らしは厳しく、人々は自然の中に神を見、祈る。

単純に王族だからとか天孫の子孫だからという
形だけの理由で政権が守られてきたわけではない。

長き治世はそれだけの安定した民の暮らしを守る国の運営を祖先が行なってきた証でもあった。

大地の花8 心積もり

さらにランユウは前王である父からも王に対し生涯誠意をもって仕え補佐するよう求められその通りに誓い、己の楔としてきた。

それは魂の契約でもあった。


 …王に信じていただくしかない。
 西国は西国、この国はこの国だ。

ランユウはきゅっと唇を噛んだ。

 下手な細工は一切するまい。
 腹の探り合いは無駄なエネルギーを使う。
 その間に必要な手立てが遅れてしまっては身も蓋もない。

ランユウは王の弟という立場を振りかざしたことはなく、常に家臣として誠意をもって仕えてきた自分を返りみて心のなかでうなずいた。このままでいこう。


 だがもしメイファ姫を追って追手が来たら…。

国のためにも西国とのイザコザは避けたいランユウにとって、幼い姫を預かった責任がずしりと重くのしかかる。


馬を降りて王城への長い階段を登りながら、ランユウはメイファ姫の事を考えた。

 着くなり「帰らなきゃならない」と叫んでいた…
 おそらく父王へ迫っている危険を知っていたのだろう。

 そして自分が持つ能力が父王を助ける力になると
 本能で知っているに違いない。

 だが竜王はあれだけの力を持つ姫を手放した。

 山に逃せば陸続き、すぐに盛り返す手段もあったかもしれないが
 わざわざ外国(とつくに)に送ってきたということは…

ランユウはそこで昨夜の乳母の言葉を思い出した。

 コントロールがまだ利かない…そういうことか。
 爆弾のような姫だな。


謁見の間に進む間に、ランユウの心のなかで一つの心づもりが出来た。



つづく。



爆弾のような…って…
一千年ほど前のこの地に爆弾があったかどーかは…
つっこまずにスルーしてください。^^;



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Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(3)大地の花
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この記事へのコメント
ぶっ、言わなきゃ気づかなかったです(笑)>爆弾発言

パステル画のひっかき模様?みたいな波がきれいですね♪
Posted by ちょこ at 2011年06月23日 08:14
たぶん、爆弾のようなエネルギーはあったかなと(・o・)ノそんな気がします。
Posted by Ka at 2011年06月23日 10:39
●ちょこさん
このひっかき模様、実は櫛で紙につけた凹みなんです。
やり方おぼえたらはまっちゃった。(笑)


●Kaさん
なるほど。
主人は「火炎瓶ぽいの」とか言ってます。
それは確かレッドクリフの一場面…。(笑)
Posted by pyopyo at 2011年06月24日 00:56
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。
 
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