2009年12月10日
黄泉の国[伽羅弧4-魅惑の力9]
「径さま、廻さま、美雨さま。お久しぶりです。」
デルタは、黄泉の国の入り口まで迎えに来ていました。
送ってきてくれた為信に別れを告げ、伽羅弧から再び戻ってきた遥珂を連れて、一行はデルタが案内する黄泉の国へ足を運びいれます。
![黄泉の国[伽羅弧4-魅惑の力9]](//img01.ti-da.net/usr/pyoblog/tro09.JPG)
デルタは、黄泉の国の入り口まで迎えに来ていました。
送ってきてくれた為信に別れを告げ、伽羅弧から再び戻ってきた遥珂を連れて、一行はデルタが案内する黄泉の国へ足を運びいれます。
黄泉の国のエネルギーは薄暗く、空気そのものがまるで違って感じられました。
「あれ?」
デルタに続いて先頭を歩いていた廻が自分の手を見て、それから不思議そうに振り返りました。
目をあわせて、径がうなずきます。
三人は、光を内側から輝かせ、まるで光の柱の中にいるようなそんな存在にみえるのです。
「まるで母上のようだな。」
廻がちゃかすように笑います。
「遥珂は光ってないわね?」
美雨がその場に馴染んでいる遥珂を見て不思議そうに言いました。
「ええ、はい。」遥珂は笑って答えました。
「どうやらその場のエネルギーに合わせて自然に身体が変化しちゃうようなんです、僕。」
「宇宙龍の特質ってやつか。」
径がうなずきました。
‘光の存在’たる三人が来ると、黄泉の国の者たちはまるで逃げるように物陰に隠れ、こっそりと様子をうかがっている様子。
「あまり歓迎って風でもないな。」
「申し訳ありません。屋敷に歓迎の馳走を準備しておりますので。」
デルタにしては神妙な言葉がかえってきたことで、三人は逆にデルタの置かれている立場…この国を治める困難さを思いました。
「デルタ、あらためてお礼を言わせて。あの時あなたが身代わりになってなければ…」
屋敷での歓迎のご馳走を前に、美雨が言いかけると、デルタは
「それは私の選択ですから、お礼には及びません。」
と答えました。
「お願いして来ていただいたのは、わけがあるのです。この国の最深部とでもいう場所になるのですが。」
「浄化が必要な場所があるそうだな。」
径が話をつなぎました。
「はい。どうしても、アマテラスさまの神子さまがたに来ていただく必要があると判断いたしました。」
三人は顔を見合わせました。
翌日、デルタはその場所へ案内しました。
そこまで来るとまるで月のない夜の闇の中。
小さな小川があるのか水の流れの音だけが聞こえてきます。
静かなその場所には、不思議な「闇の光」とでも表現するしかないような光沢のある独特の光が存在していました。
どうしても身の内のエネルギーにより発光体のようになってしまった三人は、それでも何とか己のエネルギーを押さえにおさえ、その地の住民をできるだけ驚かさないよう気をつけながらその場に足を踏み入れます。
そこにいたのは、幼い子たち。
赤子の姿で寝かされている者もいれば、はいはいしている子もいます。座って遊んでいる子もいました。
しかし泣いている子たちはおらず。
赤子たちの群れとしては不気味なほど静まり返ったその中で、ひとり静かに子どもたちの世話をしている黒い服の女性がいました。
黒い髪、黒い服。
その女性は一行が近付くと振り返り、何も言わず、表情も動かさずに立ち上がりました。
透けるように白い肌と、黒く表情のない瞳。
その顔を見た時、径、廻、美雨の三人は息が止まるかと思うほど、驚きました。
「は…母上?!」
「アマテラス様?!」
その女性は、まるで「闇の紫乃」とでも名付けたくなるほど、闇に溶け込んだ…紫乃そのものでした。
つづく。
「あれ?」
デルタに続いて先頭を歩いていた廻が自分の手を見て、それから不思議そうに振り返りました。
目をあわせて、径がうなずきます。
三人は、光を内側から輝かせ、まるで光の柱の中にいるようなそんな存在にみえるのです。
「まるで母上のようだな。」
廻がちゃかすように笑います。
「遥珂は光ってないわね?」
美雨がその場に馴染んでいる遥珂を見て不思議そうに言いました。
「ええ、はい。」遥珂は笑って答えました。
「どうやらその場のエネルギーに合わせて自然に身体が変化しちゃうようなんです、僕。」
「宇宙龍の特質ってやつか。」
径がうなずきました。
‘光の存在’たる三人が来ると、黄泉の国の者たちはまるで逃げるように物陰に隠れ、こっそりと様子をうかがっている様子。
「あまり歓迎って風でもないな。」
「申し訳ありません。屋敷に歓迎の馳走を準備しておりますので。」
デルタにしては神妙な言葉がかえってきたことで、三人は逆にデルタの置かれている立場…この国を治める困難さを思いました。
「デルタ、あらためてお礼を言わせて。あの時あなたが身代わりになってなければ…」
屋敷での歓迎のご馳走を前に、美雨が言いかけると、デルタは
「それは私の選択ですから、お礼には及びません。」
と答えました。
「お願いして来ていただいたのは、わけがあるのです。この国の最深部とでもいう場所になるのですが。」
「浄化が必要な場所があるそうだな。」
径が話をつなぎました。
「はい。どうしても、アマテラスさまの神子さまがたに来ていただく必要があると判断いたしました。」
三人は顔を見合わせました。
翌日、デルタはその場所へ案内しました。
そこまで来るとまるで月のない夜の闇の中。
小さな小川があるのか水の流れの音だけが聞こえてきます。
静かなその場所には、不思議な「闇の光」とでも表現するしかないような光沢のある独特の光が存在していました。
どうしても身の内のエネルギーにより発光体のようになってしまった三人は、それでも何とか己のエネルギーを押さえにおさえ、その地の住民をできるだけ驚かさないよう気をつけながらその場に足を踏み入れます。
そこにいたのは、幼い子たち。
赤子の姿で寝かされている者もいれば、はいはいしている子もいます。座って遊んでいる子もいました。
しかし泣いている子たちはおらず。
赤子たちの群れとしては不気味なほど静まり返ったその中で、ひとり静かに子どもたちの世話をしている黒い服の女性がいました。
黒い髪、黒い服。
その女性は一行が近付くと振り返り、何も言わず、表情も動かさずに立ち上がりました。
透けるように白い肌と、黒く表情のない瞳。
その顔を見た時、径、廻、美雨の三人は息が止まるかと思うほど、驚きました。
「は…母上?!」
「アマテラス様?!」
その女性は、まるで「闇の紫乃」とでも名付けたくなるほど、闇に溶け込んだ…紫乃そのものでした。
つづく。
Posted by 町田律子(pyo) at 07:00│Comments(3)
│伽羅弧3
この記事へのコメント
デルタが身代わりに?って…う〜ん…もしかして宇宙船事故の時の事でしょか??
いつの何だか…思い出せない_| ̄|○|||
なんか伽羅弧の話を読んでるともうすごく時間が経った昔の話みたいに思っちゃう私でした…(←ハッ
記憶が揮発した言い訳?笑)

なんか伽羅弧の話を読んでるともうすごく時間が経った昔の話みたいに思っちゃう私でした…(←ハッ

Posted by ちょこ at 2009年12月10日 08:41
pyoさん
今日は。まだいたのですか、闇の紫乃さまは! 驚きました。終わったと思っていたので。
続きが気になります。
今日は。まだいたのですか、闇の紫乃さまは! 驚きました。終わったと思っていたので。
続きが気になります。
Posted by 枯葉色 at 2009年12月10日 14:18
●ちょこさん
そうそう、宇宙船事故の時のことです。
ねー、すっごく長い時間が経った感じですよね。
あれから伽羅弧では何人子供うまれたやら。(笑)
●枯葉色さん
そうなんです、闇の紫乃、いつ統合するかと思ったらまた闇に戻っていました。
実はこの問題、いまだ現在進行中です。
そうそう、宇宙船事故の時のことです。
ねー、すっごく長い時間が経った感じですよね。
あれから伽羅弧では何人子供うまれたやら。(笑)
●枯葉色さん
そうなんです、闇の紫乃、いつ統合するかと思ったらまた闇に戻っていました。
実はこの問題、いまだ現在進行中です。
Posted by pyo at 2009年12月10日 18:41
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。