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2011年06月22日

大地の花7 クーデター

第7話 「クーデター」



船が到着し、ランユウは部下を迎えその場で報告を受けた。
舌打ちをしたくなった。

「間違いないか。」
「は。すでにかの国では政変により竜王は生命を落とし、竜王の身内のものは女子供ともども容赦なく討ち果たされた由、新国王の兵により通達が出ておりました。」

大地の花7 クーデター

身内のクーデターだった。
力あった竜王も老いてしまったか、と思う。
弟に討ち果たされたとは。

「それでメイファ姫への追手がこちらへ来る様子はなかったか。」
預っている姫のことをどうするか、考えなければならない。

「はい、幾人かの王子や姫たちが西の山に逃れたらしく、そちらに捜索が出ておりました。その後の動向を調べるために部下を数人、商人として残しております。わたしは取り急ぎご報告に戻ってまいりました。」

ランユウはうなずいた。
取り敢えずこの島国に姫への追手が向かっていないのならば、時間は稼げる。


ランユウの部下たちの一部は商船を操り、商人として西国や周辺の国に顔を出している。
だがイザとなれば戦いにも強い。

西国との間の海は海賊が出ることから、この海を通行することは戦うことでもあった。
それが隠れ蓑となり、武人をスパイとして幾人も行き来させ、周囲の国々の動向を把握できるようにしていた。



「王に報告を。」
ランユウは部下と共に急ぎ王城に向かった。

「…ランユウ様。その…王にはどう報告すればよろしいでしょうか。」

城に向かう近道は、昨日姫を迎えて通った道よりさらに傾斜の強い坂道である。
どうしても馬のスピードが落ちることから、部下はその間にとランユウにたずねてきた。

ランユウもその事を考えていた。

王の弟によるクーデター。

王を滅ぼす者だと第一王妃に‘予言’されているランユウにとって、もっとも禁忌となるキーワードである。
出来ることなら誰にも、特に王城でこの言葉を語ってほしくなかった。


ランユウは黙り込んだ。
考えながら馬をすすめ、王城の下の門の手前で部下に答えた。

「ありのままをご報告するんだ。包み隠さずに。」
部下はうなずいた。


つづく。





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この記事へのコメント
このカラフルな植物は何ですか~?
好き~(^^)
Posted by ジゼル at 2011年06月22日 09:35
ジゼルさん、これ「クロトンノキ」です。スプレータイプ。
色んな種類があるんですよー、クロトンノキ。
他にも緑色に白の斑点とか、葉っぱの形状もさまざま。
通称「クロトン」と呼ばれています。

切花として売られてた枝物なんだけど(花はない)、
水につけてたら根っこがはえてきたので
直植えして、そのまま育ててます。

我が家では火の神はクロトンを依り代として使っているので
よく根っこが生えてきていて、時々とりかえるので庭にクロトンが増えています。^^ゞ
Posted by pyopyo at 2011年06月22日 17:28
訂正。
スプレータイプじゃなくて
スパイラルタイプでした。
Posted by pyo at 2011年06月22日 19:01
検索したら白と緑色の葉っぱのが出てきた(^^)
このタイプはお店で見たことあるな♪

でも、このpyoさんのとこのみたいにカラフルなのははじめて見た~♪
孔雀の羽みたい
きれーカラフル~♪♪♪
Posted by ジゼル at 2011年06月23日 11:48
●ジゼルさん
そうそう、緑に白の斑点、これがよくあります。
クロトンノキは枝を水につけてるとよく根っこが出てくるので、育てやすくて増やしやすいです。
Posted by pyopyo at 2011年06月24日 00:58
あぁ、そうそう思い出した!
小さいのを買ってきてコップに入れてたんだけど、水替えがめんどくさくなって庭にエイッてさしてたら、かなり大きくなってビックリでした(笑)
Posted by ジゼル at 2011年06月24日 10:22
●ジゼルさん
そうなんです、結構育ってくれますよね。^^
Posted by pyopyo at 2011年06月24日 18:50
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。
 
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