2009年04月04日
伽羅弧(きゃら・こ)4 封印ののち
姫巫女は封印されてすぐに命を失ったわけではなかった。
彼女はこの浮遊城のある浮島そのものの魂と同じ魂をもっていたため、彼女自身の封印が何を意味しているのかを理解していた。
ただこの浮島で起きるすべてのことを浮島を通して感知する事ができたため、そして同時に封印されてしまったが故になすすべがなく皆を助けることができない・・・その事が彼女を苦しめた。
最初に襲われた城外のドラゴンライダーやドラゴンたちは、思念体が襲いかかることを予測し、準備に入っていた。
しかし実際に襲われたとき・・・彼らは、まだ準備が完全に整わず、防御が精いっぱいで、それも時間の問題ということを分かっていた。
彼らは城の中の「客」を守ることを最優先事項としていた。
可能なものは、思念体を己の体に取り込み、自らを殺すか、仲間同士で殺しあった。
それすらもできなかった者が、結局は思念体に負けて浮遊城最大の護りの龍・アズマと戦い、城の結界を破ろうとした。
自らも思念体に襲われながらなんとか己を保っていた龍は、思念体に負けたドラゴンやドラゴンライダーたちとの戦いでエネルギーを消耗し続け、やがて防御の力を失い、龍としての生命力も保つことができなくなり墜ちて行った。
そして最終的には思念体にすべてを乗っ取られたドラゴンライダーが城になだれ込むように襲いかかる。
しかしこの時間差を利用して、いくらかの「客」とそのサポートをする神官や巫女たちは、この浮遊城を離れることができていたのだった。

全てが終わり。
誰もいなくなった浮遊城の封印された一室で、姫巫女は永い時を過ごした。
やがて彼女は龍のアズマが転生したことに気がついた。
エネルギーが再び戻ってきていたのだ。
小さな、小さな一匹の龍。
姫巫女は浮島の魂とともに、封印されたその場所からアズマを慈しみ、育てた。
アズマは明るくワンパクな龍としてすくすく育ち、やがて宇宙まで遊びにいくようになった。
「あまり遠くにいくと危ないよー」
浮島はアズマに呼びかけたが、若い龍は、宇宙を飛び回るのを楽しんでいた。
そしてある日。
龍は帰らなかった。
姫巫女は、龍が戻らなくなったあとも、待ち続けた。
しかし最終的には彼女の魂は肉体を離れた。
姫巫女の残された悲しみと待ち続けた心はやがて波動のように周辺の宇宙に広がり、あの戦いで残された、主を失った武器たちを呼び寄せてしまった。
そして・・・さらに長い時がたち。
肉体を離れた姫巫女の魂は、鳳凰と出会った。
鳳凰は、孤独だった彼女の魂に鳳凰のエネルギーを授けてくれた。
それが、龍と鳳凰のエネルギーを併せ持つ紫乃姫の誕生。
紫乃姫の魂の本格的な封印解除はクリロズの浄化を行ったエルリックによって行われた(こちら)。
それは・・・彼女がひたすら待ち続けた恋人ではなかった。
なぜ、エルリックの中にこの封印を解除する鍵が残されていたのかはわからない。
「もしかしたら古い契約があったのかもしれない。」
そう、エルリックとつながる月花さんは語ってくれました。

そして・・・大神官は・・・。
浮遊城に愛する人を封印した大神官は、己に厳しい者だった。
そのために彼は厳格に任務を遂行しきった。
しかし、同時に彼は心の底から姫巫女を愛していた。
役目と愛情。その板挟み。
彼はその後永く自責の念に苦しみ続けた。
あの時。閉じ込められた彼女の心と魂は、一体どれだけ傷ついたことだろう。
封印されるときの、愛する人の悲鳴と絶望的な目が忘れられない。
それはその後何度転生しても彼自身を離さず、彼は己のことを
「幸せになってはいけない」
と、心の中で罰し続け、それを魂に刻み込んでしまった。
その呪いのような傷は、永い時間をかけ、
彼を徐々に魂の地獄に落としていき・・・
時が来て、ここ↓でこうして見つけられるまでその深い闇の中に己を罰し続けながら沈んでいたのだという。
>心軽やかに夢をみつける シンム- 虹の場所へとつづく旅
つづく。
彼女はこの浮遊城のある浮島そのものの魂と同じ魂をもっていたため、彼女自身の封印が何を意味しているのかを理解していた。
ただこの浮島で起きるすべてのことを浮島を通して感知する事ができたため、そして同時に封印されてしまったが故になすすべがなく皆を助けることができない・・・その事が彼女を苦しめた。
最初に襲われた城外のドラゴンライダーやドラゴンたちは、思念体が襲いかかることを予測し、準備に入っていた。
しかし実際に襲われたとき・・・彼らは、まだ準備が完全に整わず、防御が精いっぱいで、それも時間の問題ということを分かっていた。
彼らは城の中の「客」を守ることを最優先事項としていた。
可能なものは、思念体を己の体に取り込み、自らを殺すか、仲間同士で殺しあった。
それすらもできなかった者が、結局は思念体に負けて浮遊城最大の護りの龍・アズマと戦い、城の結界を破ろうとした。
自らも思念体に襲われながらなんとか己を保っていた龍は、思念体に負けたドラゴンやドラゴンライダーたちとの戦いでエネルギーを消耗し続け、やがて防御の力を失い、龍としての生命力も保つことができなくなり墜ちて行った。
そして最終的には思念体にすべてを乗っ取られたドラゴンライダーが城になだれ込むように襲いかかる。
しかしこの時間差を利用して、いくらかの「客」とそのサポートをする神官や巫女たちは、この浮遊城を離れることができていたのだった。

全てが終わり。
誰もいなくなった浮遊城の封印された一室で、姫巫女は永い時を過ごした。
やがて彼女は龍のアズマが転生したことに気がついた。
エネルギーが再び戻ってきていたのだ。
小さな、小さな一匹の龍。
姫巫女は浮島の魂とともに、封印されたその場所からアズマを慈しみ、育てた。
アズマは明るくワンパクな龍としてすくすく育ち、やがて宇宙まで遊びにいくようになった。
「あまり遠くにいくと危ないよー」
浮島はアズマに呼びかけたが、若い龍は、宇宙を飛び回るのを楽しんでいた。
そしてある日。
龍は帰らなかった。
姫巫女は、龍が戻らなくなったあとも、待ち続けた。
しかし最終的には彼女の魂は肉体を離れた。
姫巫女の残された悲しみと待ち続けた心はやがて波動のように周辺の宇宙に広がり、あの戦いで残された、主を失った武器たちを呼び寄せてしまった。
そして・・・さらに長い時がたち。
肉体を離れた姫巫女の魂は、鳳凰と出会った。
鳳凰は、孤独だった彼女の魂に鳳凰のエネルギーを授けてくれた。
それが、龍と鳳凰のエネルギーを併せ持つ紫乃姫の誕生。
紫乃姫の魂の本格的な封印解除はクリロズの浄化を行ったエルリックによって行われた(こちら)。
それは・・・彼女がひたすら待ち続けた恋人ではなかった。
なぜ、エルリックの中にこの封印を解除する鍵が残されていたのかはわからない。
「もしかしたら古い契約があったのかもしれない。」
そう、エルリックとつながる月花さんは語ってくれました。

そして・・・大神官は・・・。
浮遊城に愛する人を封印した大神官は、己に厳しい者だった。
そのために彼は厳格に任務を遂行しきった。
しかし、同時に彼は心の底から姫巫女を愛していた。
役目と愛情。その板挟み。
彼はその後永く自責の念に苦しみ続けた。
あの時。閉じ込められた彼女の心と魂は、一体どれだけ傷ついたことだろう。
封印されるときの、愛する人の悲鳴と絶望的な目が忘れられない。
それはその後何度転生しても彼自身を離さず、彼は己のことを
「幸せになってはいけない」
と、心の中で罰し続け、それを魂に刻み込んでしまった。
その呪いのような傷は、永い時間をかけ、
彼を徐々に魂の地獄に落としていき・・・
時が来て、ここ↓でこうして見つけられるまでその深い闇の中に己を罰し続けながら沈んでいたのだという。
>心軽やかに夢をみつける シンム- 虹の場所へとつづく旅
つづく。
Posted by 町田律子(pyo) at 20:00│Comments(0)
│伽羅弧
迷惑コメントが入り始めたので「承認後受け付ける」にしています。すぐには表示されませんがお待ち下さい。